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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
「ファイトマネー倍額は最低ライン」「日本王者の年収を1000万円に」あの亀田興毅が本気で“ボクシング界の底上げ”に取り組む理由
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byMiki Fukano
posted2022/10/10 11:00
出場ボクサーの“ファイトマネー倍額”を掲げて注目を集めるイベント『3150FIGHT』。ファウンダー(創設者)の元世界王者・亀田興毅氏に話を聞いた
「全国のジムはインフラ、減らしてはいけない」
――そうした話題もあって、8月の『3150FIGHT vol.3』は大きな反響がありました。
ABEMAでライブ配信して135万視聴を記録しました。結果を出せたことが一番うれしかったですね。イベントに関して、メディアに出た記事が930本です。終わってから全国のジム、選手から問い合わせが殺到しました。その数は3ケタに達しています。
――「3150FIGHTに出たい」という選手が急激に増えた?
そうです。選手からもジムからも問い合わせがきます。
――KWORLD3ジムに移籍したい、という声もあるんじゃないですか?
あるんですけど、それはダメだと言っています。日本プロボクシング協会に加盟しているジムは全国に約270あります。これってすごいインフラじゃないですか。減らしちゃいけない。だから移籍してほしくない。選手がどんどん移籍して、そのジムが活気を失ったら意味がないじゃないですか。
――かつてボクシング界ではジムの移籍問題でもめるケースがたくさんありました。その反省から、現在では契約期間を終えた選手は自由に移籍できるようルールが明確化されました。
個人的に移籍の自由化はどうかと思うんです。だってせっかく育てた選手が抜けてしまったらそのジムは困ると思うんですよ。
――全国各地のジムを活性化させるためにも、『3150FIGHT』というブランドを立ち上げたということでしょうか?
ジムは無理して興行をするのではなく、しっかり選手を育てていただければいい。こちらで活躍する舞台は作る。ファイトマネーもしっかり払う。ジムにはファイトマネーの33%がマネジメント料として入るので、ファイトマネーが倍になったらジムも潤う。そういう狙いです。今、ボクシングはけっこうピンチだと思うんです。だから強引にでも底上げしないといけない。そういう危機意識は強く持っています。
<後編へ続く>