「いや、やってるうちに、いつの間にかこういう構えになっていて……」

　本人はそんなに言われるほどなのか、と逆に困った顔になっている。

　いちばんの自信は「肩」だという。

「指がかかった時のスローイングなんか、プロでも上位ですよ」

　ご自身、近鉄の快足ショートとして活躍された武藤孝司コーチも太鼓判を押す。

　捕球してからしっかりトップの姿勢を作るスピード、さらに真上からスバッと投げ下ろす腕の振りのスピード。「形」がすごくいい。課題はバッティングだと本人はいう。

「バッティングの波を小さくして、コンスタントに打てるようにすること。振り回さなくても、しっかりタイミングを合わせて、ジャストミートさえすれば、お前なら勝手に長打になる……そう言われてますから」

「深夜1時の“すき家”メガ盛りが死ぬほど美味しい」

　独立リーグは、「日常」自体が過酷である。

　公式戦があって、バスで3、4時間かかる球場でも、試合が終われば松山まで戻る。現地で泊まれるほど、資金は潤沢じゃない。

「やっぱりお客さんにたくさん来てほしいので、ナイターが多くなるんですけど、終わって帰ってきて、深夜1時頃に食べる“すき家”のメガ盛りが、死ぬほど美味しいんです」

　聞いてるほうがジーンと来るようなこんな話をする時ですら、楽しい話をするような澄んだ笑顔がまぶしくて困る。

　プロに入って、寮のメシ見たら、どんな顔するんだろうなぁ……。

　それより先に、まず「ドラフト」（今年度は10月20日）だ。指名の瞬間を、私自身も、胸高鳴らせて待ちわびることだろう。