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松坂大輔「お前には絶対打たせない」怪物が敵視した“PLの4番”はその後、どうなった? 亜細亜大学に進学も「ノイローゼで考え方もおかしく…」

posted2022/10/04 11:04

 
松坂大輔「お前には絶対打たせない」怪物が敵視した“PLの4番”はその後、どうなった? 亜細亜大学に進学も「ノイローゼで考え方もおかしく…」<Number Web> photograph by Kazuhiko Furuhata

甲子園で出会った松坂とPL4番・古畑和彦の貴重なツーショット。その後も2人の交流は続き…

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内田勝治

内田勝治Katsuharu Uchida

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Kazuhiko Furuhata

 1998年、甲子園の準々決勝で横浜高校と延長17回の死闘を演じたPL学園。PLの4番サード・古畑和彦は打倒・横浜、打倒・松坂大輔に燃え、猛練習を重ねた。その決戦の延長戦の最中、古畑は三塁にやってきた松坂へ思わず言葉を掛ける――。 
 前編に引き続き、場面は横浜vsPL学園、延長15回から始まる(全2回の2回目/前編は#1へ)。

延長15回、三塁上でのやりとり

 横浜高校の松坂大輔もまた、PL学園の4番・古畑和彦をライバルと認めていた。延長15回2死一塁。一塁走者の松坂は、続く5番・小山良男の左中間二塁打で一塁から三塁へと到達。塁上では11回の時と同じく、両膝に手をつき、肩で息をする。三塁の古畑は声をかけた。

「大丈夫?」

 松坂は、その問いには答えず、こう返した。

「お前には絶対打たせないからな」

 古畑が松坂を打つことで横浜を倒せると感じていたように、松坂もまた、古畑を抑えることが、PLを返り討ちにする一番の近道だと感じていたのだ。

 古畑は全8打席で6打数ノーヒットと抑え込まれた。センバツの対戦と合わせ、10打数1安打2打点。目標としていた本塁打を放つことはできず、チームも延長17回表、エースの上重聡が常磐良太に決勝2ランを浴び、7-9で敗戦、センバツの借りを返すことはできなかった。

「(松坂は)対戦した中で本当にプロだと思ったし、レベルがワンランク上だなと感じました。延長戦に入ってからの方が凄みもありましたし。精神面ですよね。間違いないです」

アジアAAA野球選手権大会でともに日本代表に選出

 夏の甲子園後の9月に行われたアジアAAA野球選手権大会ではともに日本代表に選出された。グラウンドとはまた違う松坂のプライベートに興味をそそられたが、その期待は、いい意味で裏切られることになる。

「バスに乗っている時間も多くて、そこで松坂がコーラを飲んでいるんですね。上重と『こんなに凄いのに炭酸飲んでいいんや!うわっ、お菓子も食べるやん!』って騒いでいました」

 寮生活が厳しいことで有名なPL学園の自動販売機にも炭酸飲料はあった。1年生はジュースはおろか、水すらもまともに飲むことが許されない時代。古畑はその時に販売されていた炭酸の、あの甘美な味が忘れられないという。

【次ページ】 陰に隠れて飲んだ『天然育ち りんごの炭酸水』

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