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甲子園の風BACK NUMBER
松坂大輔「お前には絶対打たせない」怪物が敵視した“PLの4番”はその後、どうなった? 亜細亜大学に進学も「ノイローゼで考え方もおかしく…」
text by
内田勝治Katsuharu Uchida
photograph byKazuhiko Furuhata
posted2022/10/04 11:04
甲子園で出会った松坂とPL4番・古畑和彦の貴重なツーショット。その後も2人の交流は続き…
陰に隠れて飲んだ『天然育ち りんごの炭酸水』
「先輩から『おーい』って呼ばれると1年生が走っていって、そこで『ジュースを買ってきて』と頼まれると、賢い1年生は自分のも一緒に買っちゃうんです。でも自動販売機って音とかも鳴るじゃないですか。それで自分の分を買った時に限って当たりが出たりして…。でも陰に隠れて飲んだ『天然育ち りんごの炭酸水』はめっちゃうまかったです。さすがにコーラは売ってなかったですけどね(笑)」
多感な高校生活の中で多くのことを我慢して、倒すことを目標としたその男が今、目の前で平然とコーラを飲んでいる。でも、試合になれば平然と150キロを投げ込んでくる。
ともに同じ釜の飯を食べた数週間。のちに「平成の怪物」と呼ばれる松坂大輔への興味が尽きることはなかった。
PLとのギャップに苦しんだ大学時代
松坂はその後、西武ライオンズにドラフト1位で入団。古畑は東都大学リーグに所属する亜細亜大学からの熱心な誘いもあり、進学を決断することになる。
「(高卒でのプロ入りは)頭の中にありました。自分の中でもプロにいくものだと思っていたんですけど、全く考えていない亜細亜大学の話が出てきて、それから亜細亜には横浜高校の小山がいく、誰々もいくって情報がたくさん入ってきて、これは面白いかもしれんなって。そこでもう一回優勝を目指したりするのも面白いかなと簡単な気持ちで進路を決めてしまった。今思えばもっとプロ入りを貫けばよかったんですけどね」
高校時代に果たせなかった日本一の夢を叶えてプロ入り――。そんな筋書きを描きながら入学した亜細亜大学では、PLとのギャップに苦しんだ。
「僕の中でPL学園と亜細亜大学といったらPL学園の指導法の方が頭にあって、PLの時にはこうや、って言われていたのに、亜細亜大ではこうや、ってなると、言うことを聞けなくて……」