甲子園の風BACK NUMBER
“三冠王の兄”村上宗隆が弟に明かした「なぜプロ野球で活躍できたか」…村上慶太・高卒プロ志望の裏に“ヤクルト選手たちとの交流”も
posted2022/10/06 11:01
text by
樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph by
Yuki Kashimoto
弟もまた、最後の試合を、ホームランで締めくくっていた――。
10月5日に閉幕した「いちご一会とちぎ国体」高校野球の部。九州学院は初戦で聖光学院と対戦。4-6で敗退し、夏の甲子園、準々決勝の雪辱は果たせなかったが、四番ファーストで出場した村上慶太(3年)は3回表の同点打、5回表の左越えソロを含む4打数2安打3打点と大活躍した。「ヤクルト村上宗隆の弟」として注目され続けた1年だったが、自分の高校野球をやり切ったという、すっきりとした表情で球場を後にした。
宗隆の「56号」前日に弟・慶太も…
慶太は国体で有終の美を飾るべく、夏の甲子園後も毎日練習に参加していた。上のレベルに合わせるため、3年生は全員がバットを金属から木製に代えて国体に向けて練習をしてきた。9月30日に栃木に移動し、試合前日の打撃練習で、村上は左右に1本ずつホームランを放った。慶太が打つとチームが沸く。
「打倒聖光ばい!」
「(エースの)佐山からも打てよ!」
調子は上々。夏の緊張感から解放され、リラックスムードが漂う練習は明るさに満ちていた。
「いま鈴木誠也さんモデルの木製バットで練習しているんですけど、ずっと木で練習してきたから、金属だと飛びますね! 楽に感じます。それまでは兄ちゃんの宗隆モデルを使っていたんですけど、3本も折ってなくなっちゃったんです。だから、誠也さんモデルを出さざるを得なくなって……アハハ」と笑い飛ばした。「誠也さんのバットは大事に取っておきたかった」ということを伝えたい顔をこちらに向けながら、茶目っ気たっぷりに話した。そして打った、国体でのホームラン。翌日のシーズン最終戦で「日本人選手最多の56号」と「三冠王」がかかる兄・宗隆に追い風を送る、逆方向への一発となった。