大相撲PRESSBACK NUMBER
貴乃花の口から出血、5針縫うツッパリ連打…高校時代は「負けると壁を叩き、モンゴル語で吠えた」朝青龍が“無敵の悪役”横綱になるまで
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2022/09/27 17:14
2010年1月場所で25度目の優勝を果たし、翌月に不祥事で現役引退。横綱・朝青龍とは何者だったのか?
2度目の対戦は02年秋場所、今度も突き放そうとする朝青龍とその猛攻に耐える貴乃花という構図で大熱戦を展開するも、上手投げで土俵にたたきつけられて黒星。花道を引き上げる際に「チクショウ!」と大きな声で叫ぶ姿が中継で流れ、インタビューで「ケガしてる足を蹴ればよかった」と吐き捨てて大きく評判を下げた。
その後、2003年の1月に貴乃花は引退。結局この取組が両者の最後の対戦となり、朝青龍はついに貴乃花超えを果たすことはできなかった。
もし、もう少し時代が重なり合い、直接、その壁を乗り越えることができていたなら――昇進云々は別にして横綱としての世間の信任はもっと早く受けられていたかもしれない。ポスト若貴時代にひとり投げ出されることなく、その後の品格問題での逆風も(ほんのちょっとは)弱まっていたかもしれない。
何よりも貴乃花のような存在に挑んでいたときの方が、朝青龍は朝青龍でいられたはずなのだ。貴乃花に続いて武蔵丸も土俵を去り、ここから朝青龍は長く一人横綱としてもがき続けることになる。
<#2、#3へ続く>
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