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「自分の殻を破るため」田中希実23歳が海外レースに出場する理由「国内ではカッコよく勝たないと…」「レース前からイライラしてました」
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAyako Oikawa
posted2022/09/16 17:00
ニューヨークでの1マイルレースに出場。好記録で5位となり穏やかな表情をみせる田中希実
ボルトも8年間、自己ベストが出なかった
例えばウサイン・ボルトは2009年ベルリン世界陸上で100m、200mの世界新を出し、2017年の引退まで記録を更新できなかったが、ボルトは自らのレースパターンを熟知し、それを生かして勝負をしていた。
田中は、世界大会でのレースパターンがまだ確立されていない。スローペースの時に自ら引っ張るのか、それとも集団についてラスト勝負に切り替えるのか。
コロナも収束に向かっており、来季は海外遠征に出る機会も多くなるだろう。海外で様々なレースを経験すれば自ずとレースパターンや戦略の引き出しも増えてくる。
ボルトも東京五輪で中長距離3種目に挑戦したオランダのシファン・ハッサンも多くの失敗を重ねて世界の頂点に上り詰めた。トップ選手に共通するのは、失敗を恐れない勇敢さだ。
恐れずに、そして勇敢に挑み続ければ、殻はいつか破れるはずだ。田中が殻を破る瞬間を、ファンと共に楽しみに、しかし気長に待ちたいと思う。
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