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「いつかパートナーと滑りたいと思って」浅田真央31歳がアイスショー「BEYOND」に込めた想い。愛を深めるシーンは官能的に… 

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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photograph byAsami Enomoto

posted2022/09/14 11:02

「いつかパートナーと滑りたいと思って」浅田真央31歳がアイスショー「BEYOND」に込めた想い。愛を深めるシーンは官能的に…<Number Web> photograph by Asami Enomoto

自らが座長を務めるアイスショー「BEYOND」で氷上に戻ってきた浅田真央

年齢制限なし。赤ちゃんもOK!

 また年齢制限もないため赤ちゃんもOK。これは他のアイスショーや舞台では非常に珍しいことだ。初回公演でも、乳幼児と3歳くらいの女児を連れた夫婦の姿があった。公演中、乳児が途中で泣き出すと通路に出てあやし、女児もじっと座っていられず後方通路で歩いたりしている。もちろん子供なので、90分間集中して観ることが難しいのは当たり前。その女児は、フィナーレで観客席に手を振る浅田に、満面の笑みで何度も手を振っていた。子供にとっても親にとっても、こうやってアイスショーを体験できることはとても重要な時間だったことだろう。

 観客との距離感は、相当のこだわりが感じられた。とにかく観客とスケーターの距離が近い。氷の上にシートを敷いて「アリーナ席」を作るのは他のアイスショーでも同じことだが、座席の配置というよりは、浅田らの演技が観客に近いのだ。振り付けの半分近くがリンクサイドのギリギリを通過するように設定されており、滑り抜けていく時の風圧、スケーターの表情、まるで客席に飛び込んできそうなスピード感、そういったものを全身で体験できる。

全力で『BEYOND』の世界を届けたい

 もちろんそれは、スケーターにとっては簡単なことではない。リンクの端ギリギリを通過しながら演技をすることは、非常に難しい技術である。これは浅田達が、普段からアイスショーサイズのリンクで練習し、しかも「壁ギリギリで滑る」ことを意識していないと出来ないことだ。

「リンクの中にも席を作るので、スケーターの近さを感じてほしいです。お客様は声を出してはいけないルールではありましたが、皆さんの拍手や、マスク越しの笑顔も見られました」

 初演後、マイクを握った浅田はファンにこう挨拶した。

「言葉が見つからないほどとても胸がいっぱいです。今日こうしてスタートを切ったんですけれども、千秋楽まで全力でBEYONDの世界を届けたいと思います。こうして再び素晴らしい舞台で滑ることができて私達、本当に幸せです」

 浅田ら10名のスケーターは、滋賀公演を皮切りに、2022年9月から2023年3月まで16都市を回り、新たな感動を届ける。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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