プロ野球PRESSBACK NUMBER
佐々木朗希と“あの甲子園“以来のバッテリー「むちゃくちゃ緊張しました」ロッテ佐藤都志也(24歳)が驚いた1年前とは異次元のキレ
text by
千葉ロッテマリーンズ取材班Chiba Lotte Marines
photograph byChiba Lotte Marines
posted2022/09/09 11:00
8月26日の楽天戦で久しぶりに佐々木朗希(右)とバッテリーを組んだロッテ佐藤都志也(24歳)
夢見ていた開幕スタメンマスクも、注目が集まる佐々木とのバッテリーも高卒ルーキーの後塵を拝した。完全試合、オールスター出場……18歳の松川は佐藤の目の前を全力で駆け抜けていった。
一方の佐藤も開幕からスタメン入りを果たしている。ただ、捕手ではなく一塁手として。打力を買われての起用だった。ホームベースの後ろでマスクを被り、サインを出す後輩の姿を眩しく見ながらも貪欲にプレーを続けた。
「1月に“開幕マスク”を目標に掲げていたので、もちろん悔しかったです。でも悔しがっていても何も始まらない。一塁で勉強をしようと思いました。バッターの動き。どんな配球をするのか勉強しました。どういう選択をするのか。自分ならどうするのか。ベンチに戻ってからも、松川と積極的に会話を重ねました。なぜそういう配球になったかなど意見交換を重ねました。松川とはその後もよく配球に関しての考え方を話し合っています」
ADVERTISEMENT
広角に打てる打撃技術とパンチ力をアピールすると、徐々にマスクを被る機会が増えてきた。キャッチング、ブロッキング、スローイングなどオフに鍛えた技術面でも成長した姿を見せ、ベンチの信頼は日を追うごとに増していった。
甲子園以来のコンビ復活「むちゃくちゃ緊張しました」
8月26日、本拠地でのイーグルス戦。松川が前々日の試合でホームにヘッドスライディングした際に右肩を痛めたこともあり、佐々木とのバッテリーを組む機会が佐藤に巡ってきた。甲子園で佐々木がプロ初勝利を挙げた以来のコンビ復活だった。
「前日に明日行くぞと言われた。むちゃくちゃ緊張しました。アイツのレベルに自分がちゃんとついていけるかどうか。それに『佐々木=松川』のイメージがどうしてもある。これで負けたらオレはえらいことになると思った」
入念にコミュニケーションを重ねブルペンでボールを受けた。1年前の背番号「17」とはまるで違う。衝撃的なボールだった。
「両サイドへのコントロール。フォークの精度。球の強さ。凄かった。完全試合を受けていないので分からない部分はあるけど、それに近い出力とキレだったのではないかと思う」
ゲームプランとしてはストレートとフォークを中心に組み立てていく中、カーブの使い方を意識した。「最初はシンプルに入りながらも、どこでカーブを使って惑わすか」。マスク越しに頭をフル回転させた。インコースへのストレートも見せ、さらにカーブとスライダーを交え、フォークを落とすことでイーグルス打線に的を絞らせず、凡打の山を築いていった。
試合中、ベンチに戻るとカーブの使い方を確認し合うなど、入念な備えが実を結び、三塁すら踏ませない圧巻の投球で7回無失点。佐々木は1週間前にプロ最多の3被弾を浴びた楽天打線を封印し、今季8勝目を挙げた。