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佐々木朗希と“あの甲子園“以来のバッテリー「むちゃくちゃ緊張しました」ロッテ佐藤都志也(24歳)が驚いた1年前とは異次元のキレ
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千葉ロッテマリーンズ取材班Chiba Lotte Marines
photograph byChiba Lotte Marines
posted2022/09/09 11:00
8月26日の楽天戦で久しぶりに佐々木朗希(右)とバッテリーを組んだロッテ佐藤都志也(24歳)
そして、10日後の5月27日。佐々木にとって2度目の先発マウンドとなったのは、聖地・甲子園での阪神タイガース戦だった。5回を投げて被安打7、5奪三振、4失点(自責は3)。高校時代に足を踏み入れることが出来なかった甲子園でプロ初勝利を挙げた。佐々木のボールを受けた佐藤も、充実感と心地よい疲労感に包まれた。捕手冥利に尽きる勝利だった。
怪物のデビュー戦とプロ初勝利の試合でマスクをかぶった佐藤だったが、その後は実績のある捕手陣が立ち塞がり、コンビを組む機会に恵まれなかった。田村龍弘、柿沼友哉、そして後半戦は中日ドラゴンズからトレードで加入した加藤匠馬に固定された。捕手としての実績、経験値の差は歴然。技術不足を認めざるをえなかった。
だから、今年のオフはレギュラー捕手を目標に徹底的にキャッチング、スローイングを見直した。1月から益田直也らが自主トレを行う石垣島に出向き、投手陣のボールをたくさん受けて会話を深めた。また同行したいた先輩捕手・田村の近くで練習を行うことで技術向上を目指した。
とんでもない18歳松川虎生の出現
そんな強い決意で臨んだ2022年シーズン、ドラフト1位ルーキー松川虎生が彗星のごとく現れ、そのポジションに定着した。3月25日の東北楽天ゴールデンイーグルスとの開幕戦で、高卒では史上3人目となるスタメンマスクをかぶって勝利に貢献すると、雨天中止を挟んだ2戦目には佐々木の今季初先発の試合でも抜擢され、注目を集めた。
その後も松川の進撃は続き、4月3日のライオンズ戦では佐々木の今季初勝利をサポート。そして4月10日、本拠地ZOZOマリンスタジアムでのオリックス・バファローズ戦では、28年ぶりの完全試合を達成。冷静な立ち振る舞いで佐々木をリードした18歳にも賞賛の声が集まり、2人で有名女性誌に取り上げられるなど、一躍時の人となった。
佐藤はそんな後輩に対して思いを述べる。
「松川は凄い。正直、最初は『とはいっても、高校を出たばかりの1年目でしょ』という思いはあった。でも実際にプレーをする姿を見て意識は変わった。ここまでやるかという感じ。尻に火がついた。正捕手になる存在として自分の中で危機感が芽生えたし、これからも切磋琢磨しながらやっていきたい」