酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
村上宗隆が「王貞治・落合博満・松井秀喜らの全盛期」を22歳で超えそう… “三冠王+61本塁打ペース以外もスゴい”史上最強級の記録
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2022/08/29 17:00
1試合5安打4打点など、DeNAとの首位攻防3連戦で11打数9安打4本塁打9打点。村上宗隆の打棒には恐ろしさすら感じる
129.81 村上宗隆/2022年(ヤクルト)
115試394打134安49本120点12盗97球 率.340
まだ上位とは相当に差があるが、RCは積み上げ型の数字で、115試合時点での数字ペースが続くと、最終(村上は残り試合をフル出場すれば142試合)はこうなる。
160.28 村上宗隆/2022年(ヤクルト)
142試487打165安61本148点15盗120球 率.340
村上は72年ぶりに藤村の数字を抜くことになる。1950年セ・リーグのリーグ打率は.265、2022年のセは.249、8月27日には日本ハムのポンセが今季5人目のノーヒットノーランを記録するなど「投高打低」と言われる今年のNPBで、村上は史上最高をマークする可能性がある。
そして本塁打も――2013年に元同僚のバレンティンが作った60本塁打の大記録を抜く計算になる。
松井、バレンティンと比べても異常な“本塁打方向”
村上の打撃のすごさは今季の本塁打方向にも表れている。
21世紀以降、セ・リーグで50本塁打を記録した2002年の巨人・松井秀喜、2013年のヤクルト・バレンティンとの本塁打の方向を比べてみる。
<2002年 松井秀喜(巨人)50本塁打 左打者>
右 27本(54.0%)
中 10本(20.0%)
左 13本(26.0%)
<2013年 バレンティン(ヤクルト)60本塁打 右打者>
右 10本(16.7%)
中 8本(13.3%)
左 42本(70.0%)
<2022年 村上宗隆(ヤクルト)49本塁打 左打者>
右 22本(44.9%)
中 11本(22.4%)
左 16本(32.7%)
前にも紹介したが、MLBで大谷翔平が認められたのは、反対方向(左打者の大谷は左翼)に本塁打を連発したからだとされる。本当に力のある打者は、技術と膂力でやや振り遅れとみられるような打球がスタンドインするのだ。
2002年の松井秀喜は反対方向(左翼)に26%の13本塁打を打った。2013年のバレンティンは反対方向(右翼)に16.7%の10本塁打。これに対して今年の村上は反対方向(左翼)に32.7%の16本塁打。今年の打棒のすごさを端的に物語っている。力任せに振らなくても柵越えが打てる今年の村上だけに、投手は投げるボールがなくなっているはずだ。
5打席連発に最年少150発、連続出塁に安打…記録ラッシュ
村上は記録ラッシュも続いている。8月26日のDeNA戦では最年少で通算150本塁打を記録している。