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夏の甲子園・都道府県別「勝利数ベスト20」…謎ルール「敗者復活戦」があった和歌山、梅雨が長くても「逆境を友達に」沖縄は何位? 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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photograph byBUNGEISHUNJU

posted2022/08/17 11:00

夏の甲子園・都道府県別「勝利数ベスト20」…謎ルール「敗者復活戦」があった和歌山、梅雨が長くても「逆境を友達に」沖縄は何位?<Number Web> photograph by BUNGEISHUNJU

夏の甲子園「都道府県別勝利数」20~6位を一挙発表!

【夏の甲子園「都道府県別勝利数」9~6位】
6位 和歌山 127勝(3位→15位→12位タイ→6位タイ)
7位 京都 124勝(2位→10位→14位タイ→14位タイ)
8位 愛媛 122勝(9位→1位タイ→19位タイ→10位タイ)
9位 広島 119 勝(5位→7位タイ→12位タイ→14位タイ)

史上初の連覇…強すぎた和歌山中に“謎ルール”

 6位の和歌山と7位の京都は戦前の強さがモノを言った。『年代1』で京都は2度優勝(1回・京都二中、24回・平安中)、和歌山は4度優勝(7、8回・和歌山中、25、26回・海草中)と大会をリードした。

 京都は明治時代から野球が盛んだった。第1回優勝の京都二中は明治43年に早稲田大学と戦って惜敗、2年後には明治大学に勝つなど、旧制中学とは思えない強さを誇っていた。

 一方、和歌山は他県と比べれば野球部の創設は早くなかったが、出来助三郎(でき・すけさぶろう)監督が和歌山中を強豪に作り上げた。基本のキャッチボールを徹底して、選手のコントロールを磨いた。バッティングマシーンのない時代、これが打撃力の向上につながった。多くの選手がストライクゾーンに球を投げられるため、打撃練習が効率的になったのだ。その成果が第7回大会で顕著に現れ、今も破られない大会最多の75得点、29盗塁を記録。初戦から20点、21点、18点と他校を圧倒し、決勝でも京都一商を16対4で破って初の栄冠に輝いた。4試合で、相手のエラー40も大量点の誘い水になった。

 翌年の8回大会も制して史上初の連覇を果たす。9回大会の県予選では“和歌山中に負けたチームは敗者復活に回る”という謎のルールが設けられたほど、異常な強さを誇っていた。連覇の立役者である井口新次郎は1998(平成10)年に野球殿堂入りしている。

 夏の2位タイである優勝8回の和歌山を超える都道府県勝利数ベスト5はどこなのか。次の記事では、トップ争いを語る上で欠かせない“あの問題”を徹底的に分析する。<つづく>

参考文献:森岡浩著『県別全国高校野球史』(2001年7月発行/東京堂出版)、中村計著「高校野球 名将の言葉」(2018年7月発行/講談社)

#2に続く
「高校野球が全国で一番強いのはどこ?」夏の甲子園・都道府県別「勝利数ベスト5」…3位は兵庫、2位は大阪、では1位は?《最新データで“平等な順位“も算出》

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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