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ソフトバンク松田宣浩は一軍に残すべきか? 2901日ぶり二軍戦で確信した“熱男の圧倒的尊さ”…思いは受け継がれ「マスオ~!」も誕生
posted2022/08/06 11:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kotaro Tajiri
熱男こと松田宣浩は、球宴明けの後半戦を二軍でスタートした。
今シーズンは開幕からまだ日の浅い4月7日、本拠地PayPayドームでのオリックス戦で現役断トツかつ新人時代から17年連続となる通算67本目の三塁打が勝利を呼び込む一打となると、お立ち台に上がりお決まりの「1、2、3、マーッチ!」を高らかに決めてみせた。
しかし、シーズン前から「チームの過渡期」「世代交代」などのワードがしつこいほど繰り返されたチームにおいて松田の出番はこれまで以上に激減した。前半戦は全87試合のうち出場は32試合どまり。そのうちスタメンは21試合だった。
2901日ぶりに二軍戦出場
打率.188、0本塁打、6打点と寂しい数字で前半戦を終えたが、松田が7月末から二軍に行ったのは不振が原因ではなかった。7月29日に新型コロナウイルスの濃厚接触者となる疑いがあり「特例2022」の適用により出場選手登録を抹消されたからだ。
幸いにも陽性判定は出ず、8月3日に実戦復帰。タマホームスタジアム筑後で行われたウエスタン・リーグのオリックス戦に「3番ファースト」でスタメン出場した。
「筑後での試合は一軍のオープン戦で出たことはあったけど、ウエスタンでは初めて。新鮮だったし、若い選手と一緒にエネルギッシュにやれたんでよかったと思います」
たしかに、松田が筑後のファーム戦でプレーした記憶はまったくない。調べてみると前回ウエスタン戦に出場したのは2014年8月24日の同じくオリックス戦で、場所は淡路島の淡路佐野運動公園球場だった(余談かつ豆知識:同球場でホークス二軍は2008年にウエスタン優勝を飾ったことがある)。もう8年前。数えること2901日ぶりの二軍公式戦出場だった。
自身としては10日ぶりの実戦。それでも若鷹たちへ格の違いを示してみせた。相手先発は一軍実績十分の増井浩俊。その初回の第1打席、カウント3-2とした6球目の148キロの外寄りのストレートをガツンととらえた。打球は右方向へ伸びていき、右翼手の頭上を越えてフェンスを直撃。クッションボールが転がる間に松田は全力でダイヤモンドを1つ、2つと駆け抜けて見事な先制タイムリー三塁打にした。4月に一軍でヒーローになった際も「足はまだまだ元気。外野の間を抜いたら走って、カッコいい走塁を見せたい」と話していたが、暑さ厳しい8月の筑後でも元気はつらつだ。