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ソフトバンク松田宣浩は一軍に残すべきか? 2901日ぶり二軍戦で確信した“熱男の圧倒的尊さ”…思いは受け継がれ「マスオ~!」も誕生
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2022/08/06 11:00
8月3日、2901日ぶりに二軍公式戦に出場した松田宣浩
2番・真砂勇介(10年目・背番号64)はかなり年下のはずだが、なぜか「真砂さ~ん」だった。そして5番・増田珠(5年目/背番号33)は松田に憧れて「増男~!」のパフォーマンスをすることでお馴染み。そんな後輩を可愛がらないはずがない。初回、松田の適時三塁打に続いて増田もタイムリーを放った。すると我がことのように大喜びし、「よっしゃー! マスオさ~ん」と何度も右手を突き上げた。よほど嬉しかったのか「マスオさ~ん!」も連呼。筆者が心の中でサザエさんかと突っ込んだのはここだけの話だ。
ダグアウト内も観察してみると、後ろを振り向き「〇〇(聞き取れず)、声出てないよー」と発破をかける。正直、若鷹たちの雰囲気がこれまで見たこともないほど爆上がりしていた。松田のおかげと断定はできないかもしれないが、この日のホークス二軍は初回に7得点と猛攻を見せた。決して不調には見えなかった先述の増井を攻略してのものだった。
一軍、二軍監督が語っていた「松田がいる意味」
藤本監督にも数日前に、松田不在の影響を取材の中で訊ねていた。
「いないとベンチが静か。マッチの場合、名指しで声出さんか~!とやってくれる。『30分経ったけど、〇〇出てないぞ~』とか。それが出来る若手はいない。ただ『行け行け』じゃなく、バカなことを言ってもいい。明るくするためにはね。『ここで一本』とかだけじゃなくね。そういう雰囲気で、残り試合もやっていきたい」
小久保裕紀二軍監督もこう口にした。
「ある意味、ホークスのいい伝統。主力が先頭に立って、引っ張っていくのがいい意味で引き継がれている。試合後、選手にも話をしました。ここから主力に育っていく選手もいると思うけど、それを引き継いでいくのはホークスの中では義務だと思う。しっかり背中を見て学んでください、と」
今年、二軍では試合後に選手がその試合の反省点を挙げて全員の前で発表する場が設けられており、この日は松田が指名されたそうだ。「打線の活発さを褒めてました。反省会というより褒めるだけだったけど」と小久保二軍監督が笑いながら様子を明かしてくれた。