「打線の核は、6番・狩野、7番・伊藤、8番・生田目なんだよ。1番から5番までは実力と結果を出してるから、そこにいるのは当然じゃん。だから、『第2クリーンアップ』じゃないけど、あの3人が打ってくれるとデカいし、実際にそうなったよね。生田目だって打てなくても、バント、進塁打とかなんでもできる。ああいう裏方稼業に徹してくれる存在がいるのもこのチームの強みなんだ」

　目を逸らすことなく進む一本道。退路はない。だから、彼らは助け合い、成長する。

主将が語った「何かを起こせている」理由

　今年の聖光学院は、高校野球の、高校生が本来歩むべき姿を示しているようでもある。

　高き志を貫くため、目標を達成するために誘惑を打ち消し、半ば好むように厳しき日常を選択する。失敗のほうが多い。でも、ほんの少しの成功体験が、少しずつ自信となり、やがて不変の確信へと昇華していく。

　信じることが一番。そう斎藤は言った。

「バッティング、守備、走塁、ピッチング。野球には成功するための要素がいろいろあんだけど、やっぱ技術以外の内面的な能力が大事だよね。我慢強さ、粘り強さ、自分たちを信じる……そうだね、本気で自分を信じ切る、仲間を信じ切ることができれば、『どんなに不利な立場でもひっくり返せんじゃねぇか』ってなると思うんだ。このチームにはそれがある。だから楽しみなんだよ」

　聖光学院の強さを再確認した。

　監督の斎藤や部長の横山をして、「グラウンドに監督がいる」と言わしめるキャプテンが、優勝後に言ったバックボーンこそ、まさにそれだった。

「自分たちが信じてやってきているから、何かを起こせているんだと思います」

　聖光学院は、甲子園でも何かを起こす。

　高校生の生き様を見よ。

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