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相次ぐ強豪敗退も…14連覇を逃した聖光学院が“1年で王者奪還”のスゴみ「恐怖心はありました。二度と行けないんじゃないかと」
posted2022/07/29 06:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Genki Taguchi
聖光学院の斎藤智也監督は、トーナメントを勝ち上がるたびに夏の怖さを痛感していた。
今年も全国各地で波乱が起きている。
広陵、浦和学院、作新学院…敗れた“優勝候補”
7月20日。広島大会の3回戦で優勝候補の広陵が英数学館に敗れた。
「うちは広陵さんと甲子園で3回やらせてもらってっけど、中井(哲之)監督の野球は隙がねぇし、予選の序盤だからって手を抜くことは絶対にないのにね……」
7月26日。埼玉大会では、センバツでベスト4の浦和学院が決勝戦で涙を呑んだ。
「森(士)さんの息子さん(大)に監督が代わってから、またいいチームに育ててるなって感じてたかんね。逆転勝ちしたり、花咲徳栄とか強豪にもいい勝ち方してたのにね……」
両校以外でもセンバツ4強の国学院久我山、昨年まで10連覇中だった作新学院、5連覇中だった前橋育英が苦杯をなめた。
その度に斎藤は、道半ばで散った高校の教訓をチームに説いてきた。
「強豪校が負けただけじゃなくてね、厳しい試合を乗り越えたチームの事例なんかも挙げながらさ、『これが夏だよ。こうなるよ』って話してたよね。いくら練習試合で強いところとやって勝ったことがあったとしても『夏は違うよ』って、説得力が増すじゃない」
昨夏逃した“14連覇”…「二度と行けないんじゃないか」
7月27日。その聖光学院が3年ぶりに福島の覇権を奪還した。
6試合中3試合で逆転勝利。スコアだけでは計ることができない厳しさは、優勝決定直後の斎藤の安堵に表現されていた。
「どの戦いにも恐怖心はありました。3年間、甲子園から遠ざかるのは怖かったですし、『二度と行けないんじゃないか』と」