フランス、アメリカ、ブラジル、さらに今大会では対戦のなかったポーランドなど世界の頂点を争う相手と比較すれば、まだ「個」の面でも「組織」としても縮まらぬ差があるのは事実だ。とはいえ、今大会で大きく変わったのは「意識」。石川はブラジル戦の後、ファイナルラウンドの戦いを見据えながらこう言っていた。

「本気でブラジルに勝ちにいって、この結果（セットカウント0−3）になったことを全員が悔しく思っています。でも、こういう（ブラジルのような）相手に勝てるチームになるためには、何度も戦って、勝って自信をつけるしかない。

　今回、ファイナル（ラウンド）へ進めて、一発勝負のトーナメントで味わったことのない緊張感やプレッシャーを経験できることは本当に貴重な経験ですし、“ファイナルへ進めてよかった”ではなく、“ファイナルで1勝するため”には、ファイナル前に強い相手と戦って、『次は絶対に勝つ』という思いを得ることが必要だった。ここで得られた悔しさ、経験がファイナルへつながると思いますし、もっといいバレーができるんじゃないかと僕自身も感じているので、今から楽しみです」

8月末から世界選手権が始まる

　ネーションズリーグでは、その“楽しみ”を味わうことはできなかった。だが、憂うることも、嘆くことも、ましてや「残念だった」と思うことなどない。ひと月後には、世界選手権が待っている。

©︎Itaru Chiba

　治療に専念する石川は、今月末に沖縄で予定されている紅白戦の出場が見送られた。その間、負けるものかとばかりに各々が己を磨き、世界選手権では「個」が集った強い「組織」となった日本代表が世界を舞台に立っているはずだ。そしてその中心に、チームメイトから“絶対的な存在”と言わしめる、頼れるキャプテンが戻ってくる。

　ならばあえて、同じ言葉を繰り返そう。来る頂上決戦に向けて――。

　今から楽しみです。

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