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石川祐希が「絶対的な存在」と信頼される理由とは? バレー代表初選出の23歳が証言「何かあればすぐ俺に聞きに来ていいよ」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byItaru Chiba
posted2022/07/24 11:02
ネーションズリーグを5位で終えた男子バレー日本代表。好調なチームを引っ張ったのが、キャプテン石川祐希だった
対角に入る選手の組み合わせやポジションが代わろうとも、チームとしてどう戦うかが常に明確だった。プレーや試合を見るだけでその意図は伝わり、試合を終えた選手に尋ねれば、その都度「なるほど」と深くうなずける答えが返り、点と点さらには線と線がつながる感覚があった。予選ラウンドではイランやイタリアといった強豪相手に勝利を収め、敗れたアメリカ、フランス、ブラジルとの試合でも「勝てるかもしれない」と期待を抱かせた。
かつては見上げていた世界の強豪チームの主軸たちに「久しぶり」と笑顔で近寄る西田有志や関田誠大、高橋藍ら今季欧州でプレーした面々の表情は頼もしく、「挑む」ではなく「戦う」という同じ目線に立っていた。対戦相手の選手たちが「日本は強いチーム」と口を揃えるのも、決してリップサービスではなかった。
そのチームの中心にいたのが石川だった。
ある時はサーブで。また別の時はコートにたたきつけるスパイクで。ブラジル戦で見せたラリーを制する1枚ブロックも然り。要所で見せるプレーは、“圧巻”の一言に尽きる存在感を放った。
プレーだけではない。印象深かったのは、石川がスタメンを外れた7月9日のドイツ戦で見せた笑顔と大きなガッツポーズだ。
初選出の23歳村山に「ナイス!」
第1セットを先取されるも、2、3セットを取り返した日本は、第4セットを20対16としたところで、ミドルブロッカー高橋健太郎に代えて、今大会が日本代表初選出だった23歳の村山豪を投入した。
その直後、ドイツのティム・ペーターのサーブによって日本の守備が崩されたが、コート外へ弾かれたボールに必死で飛びついたのが村山だった。つながったボールを高橋藍が決めた直後、ベンチにいた石川は満面の笑みで大きく手を叩き、村山に向かって親指を立てて「ナイス!」と叫んだ。
試合直後のミックスゾーンで、石川はこう言った。
「(ドイツ戦で見せたような)つなぎのプレーやディグなど、村山選手自身も非常にいいパフォーマンスが発揮できているのをわかっていると思いますし、(ベンチからも)安心して見ていられました。誰が出ても同じようにプレーするというのは僕たちのチーム目標の1つでもあるので、出た時にああいうプレーをして、活躍してくれると嬉しいです」
同じシーンを、村山も振り返る。
「僕にとって祐希さんは“テレビの中のすごい人”。初めての代表活動で、面識はなかったのですが、祐希さんから話しかけてくれた時はすごく嬉しかったし、(ドイツ戦で)レシーブした後にベンチに戻ってからも、何度も『ナイス! よかったよ!』と喜んでくれて、それだけでも嬉しかったです」