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「五輪期間中の睡眠は連日1、2時間でした」平井理央39歳が振り返る、過酷な『すぽると!』スポーツキャスター時代
text by
秋山千佳Chika Akiyama
photograph byMiki Fukano
posted2022/07/30 11:00
元フジテレビアナウンサーで現在はフリーで活躍する平井理央さん。6年半務めたフジの人気スポーツ情報番組『すぽると!』の2代目メーンキャスター時代を振り返るロングインタビュー
平井 それまでも、アスリートは五輪という4年に一度の夢舞台を目指して頑張っている、ということを知識としては持っていたんですけど。五輪の現場に立ってみて初めて、世界中から老若男女が集まってスタジアムが一体となり、選手の一瞬にかけるパフォーマンスを注視して喜んだり悲しんだりする、すごい現場だなと体感したんです。そこにいるだけで心臓が高鳴ってアドレナリンが出る。選手はそこを目指して日々トレーニングをし、戦ってきて、その場でマックスのパフォーマンスを出せる……そんなアスリート力を目の当たりにして、それまで抱いてきた以上の深い尊敬の念を抱いたのが、この五輪でした。
仕事が“好きなこと”になって「休みの日も取材に」
――そうすると、スポーツ観も一段と深みを増して。
平井 そうですね。北京から帰ってきて、スタッフにも「変わった」とすごく言われました。取材する姿勢が変わった、と。具体的には、休みの日にも取材に行くようになりました。
――貴重な寝だめの機会を費やして。
平井 どうしても、話を聞いた選手の試合を見たくなったんです。週末にはゴルフの会場に行くとか。仕事だったことが好きなことになった、みたいな感覚ですね。
――ビックリと不安から始まったことが、好きという境地にまで達したのですね。
平井 北京を生で見させてもらったおかげです。それまでは、三宅さんが休みの日にも球場や試合会場にいるのを「変わってるな」と思っていたんです(笑)。他局も含めて、その日にオンエアがないというアナウンサーとは、私は他に現場で会ったことがなかったので。そんな私も仕事が「好きなこと」になって“三宅派”になりました。
撮影=深野未季
〈#2、#3へ続く〉
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