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「プライベートな付き合いをしなくても取材はできる」平井理央39歳を救った『すぽると!』先輩・内田恭子の言葉
posted2022/07/30 11:01
text by
秋山千佳Chika Akiyama
photograph by
Sankei Shimbun
「女子アナ」という華やかなイメージとは裏腹に、過酷なスケジュールをこなし、限られた休日を返上してでも取材現場に通い続けたという。とにかくアスリートの心に触れたかったという平井さんが、忘れられないある選手へのインタビューとは(全3回の2回目/#1、#3)。
「プライベートな付き合いをしなくても取材はできる」
――とあるスポーツ紙の過去記事で、局関係者を名乗るこんな匿名コメントがありました。平井さんが『すぽると!』でプロ野球取材を熱心にされていた頃、取材対象である選手から激しいアプローチをかけられたけれど、平井さんのガードが固かった、と(笑)。
平井 そういうのって、誰情報なんでしょうかね(笑)。でもそうですね、自分としてはあくまで取材であり、アスリートとして接しているので、アプローチどうこうという話には興味がなかったですね。仲のいい選手がいると知識が深まるのかもしれないですけど、そうでないと取材できないような関係性であれば、自分はそこまでの取材者かなと思っていたので。あと、内田さん(※内田恭子元フジテレビアナウンサー)からの助言も大きかったです。
――どんな助言ですか?
平井 スポーツ現場で取材対象の人から食事のお誘いがあるかもしれないけれども、そういうことをしなくても取材はできるから、と引き継ぎの時に言われたんです。私の指針として助かった言葉です。
――お食事に限らず、個別に連絡先を聞いてやりとりするようなこともなかったですか。
平井 局アナ時代は頑ななところがあって、プライベートな付き合いをしたら番組や会社に迷惑がかかるかもしれないというふうに身構えていたので、そういう意味で固かったかもしれないです。逆に会社を辞めてフリーになってからは、当時よく取材させていただいていたアスリートの人と仲良くできるようになりました。主に女性アスリートですけど(笑)。
――局アナ時代にプライベートの交流を持たなかったのは、男女関係なく、ということだったのですね。
平井 そうです。プライベートでなく取材の場で、どうすれば相手の心をほぐせるかと研究していました。その日の選手の体調や顔色、振る舞いを見てからどんなテンションでいこうと決めたり、最初の質問は「さっき誰々選手と何を話していたんですか」みたいな軽い話題から入ってみたり。でも、パッと話しかけてうまくいったためしはあまりないですね。そんなに芯を食った質問はできない。私はロングインタビューの方が好きでした。
6年半のキャスター時代で印象に残っている“あの選手の言葉”
――カメラが回っている状態でのロングインタビューということですね。特に印象的だったインタビューを一つ挙げていただけますか?