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本郷理華25歳が明かす、五輪落選から“空白の1年半”…宝石店バイトで気づいた「スケートじゃなくても頑張ったら生きていける」
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph byShigeki Yamamoto
posted2022/07/23 11:03
昨年6月に現役引退を発表、今年1月に引退セレモニーが開かれたフィギュアスケーターの本郷理華さん。現役時代のすべてを振り返るロングインタビューです
本郷 自分にはスケートしかできないと思っていたから、働いてみて意外と気が軽くなったんですよね。毎日決まった時間に出勤して、決まった時間に帰る。スケートじゃなくても頑張ったら生きていけるんだなと思えました。
スケートは全く見ませんでした。全日本はちょうどクリスマスシーズンだから、ジュエリーショップは繁忙期なんです。必死にジュエリーを売って、気づいたら全日本は終わっていました。
復帰と引退の決断「北京五輪にはどれだけ頑張っても…」
――リアルな背景ですね。スケートに気持ちが戻ったのはどんなタイミングでしたか？
本郷 ふとしたときに、自分が全日本に出ている動画を見たんです。すごく楽しそうに滑っていて……。その後に他の選手の演技を見たら、さらにキラキラと輝いて見えるんですよね。その時に「やっぱりまた滑りたいな」と思って、すぐに母と先生に連絡しました。
このままスケートが好きじゃないという気持ちで、やりきったという達成感もなく辞めたら、何年後かに後悔してしまう。それだったら諦めがつくまでやり切って「自分はここまでだ」と思ってから辞めたほうが次に切り替えられると思い、復帰を決めました。
――夢であったオリンピックはもう意識していなかったのでしょうか？
本郷 オリンピックというより、自分がどこまで行けるかも分からなかったので。どこまで戻せるのか、そもそも全日本で上位に行けるかもわからないし、予選で落ちるかもしれないし。予選で落ちたらその時点で引退だと決めていました。
――2020年9月に現役復帰して、同年の全日本選手権の出場権を決めました。18位で全日本を終えた時点で引退はよぎっていたのでしょうか？
本郷 スケートが好きという明るい気持ちのなかで、楽しみながら徐々に上げていけたシーズンだったのですごく良かったけれど、現実を見たときにこのまま順調に行ったとしてもまあこれくらいだろうなとも思ってて。
北京五輪の選考にはどれだけ頑張っても引っかかるわけないし、10番以内にも入れないだろうなと。そんな感じでもう1年続けるより、今のやりきったという気持ちのまま、次に進んだほうがいいと思ったんです。
――SNSでの引退発表は緊張しませんでしたか？
本郷 最初はすごく緊張して、一回下書きに保存して、何回も文章を読み直して、ハーッって深呼吸して……。投稿ボタンを押した瞬間から、段々とコメントが増えたり、友達から連絡が来たりして「ああ引退したんだな」と気持ちが軽くなった感じでした。
引退発表から1年…現在は福岡が拠点
――現在は福岡に拠点を置いて、アシスタントコーチになられたそうですが、どんな経緯があったのですか？
