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「医学部では史上初」名門筑波大サッカー部“6軍”から這い上がった優秀すぎる大学生…三笘の恩師「信頼しているから起用した」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2022/07/14 11:01
筑波大MF川勝翔太(3年)。医学群に在籍する選手としてサッカー部史上初となるトップチームの公式戦出場を果たした
3年になると臨床分野の学習が入ってきたことで、両立のハードさは増した。それでも彼の姿勢は変わらなかったと、同じ3年生で仲の良いMF山内翔(J1ヴィッセル神戸内定)は信頼を語る。
「筑波大は文武両道と言われていますが、一番それを体現しているのが翔太。作新学院大戦は少ない時間でしたが、スムーズに試合に入れていたし、十分に高いレベルの力を持った選手であることを証明してくれた。医学群が他と決定的に違うのは、単位を1つでも落としたら即留年になるところ。授業などで練習や試合に出られないこともある選手が、1軍の公式戦で活躍したことは蹴球部全体にとっても大きな意義があると思います。翔太は僕にとっては同じポジションの負けられないライバルの1人。彼と一緒にプレーできていることこそが、筑波大に来てよかったと思える理由の1つです」
「スポーツに特化した整形外科医になりたい」
川勝が次に見据えるのは、悲願のリーグ戦デビューだ。
「筑波大を勝たせられる存在になりたい。僕は『医学群だからサッカーは厳しいよね』と思われたくないし、逆に『サッカーをやっているから……』とも思われたくない。どっちも言い訳にしたくないですし、そう思われないように努力をしているつもりです。常に限界に挑んでいる感じがして、本当に毎日が楽しいですよ(笑)」
二兎追う者、一兎も得ず——そんな言い伝えはあるが、川勝の中では“二兎”を追っている感覚は全くない。サッカーと医学の勉強は彼にとって人生の両輪であり、その情熱がガソリンとなって前進し続けることができている。
未来予想図は?
「よりスポーツに特化した整形外科医になりたいと思っています。筑波大では、プロになるアスリートたちが、どういう思いと信念を持って過ごしているのかを誰よりも間近で見ることができます。だからこそ、アスリートの気持ちや日常を深く理解した医者になりたい。スポーツ界にいろんな側面から寄り添える存在になるのが目標です」
来年になればさらに臨床実習が加わる。そして、5年、6年と卒業まで長い道のりがあり、その先には国家試験という難関もある。だが、川勝は壁が高ければ高いほどモチベーションを燃やすだろう。今を全力で楽しみながら、自分が選んだ道を駆け抜ける。
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