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「殿堂入り級の三振王」中村剛也が偉大だから山川穂高も… 清原和博超え38歳おかわりさんが“ぽっちゃり野球少年”の夢なワケ 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2022/07/09 11:00

「殿堂入り級の三振王」中村剛也が偉大だから山川穂高も… 清原和博超え38歳おかわりさんが“ぽっちゃり野球少年”の夢なワケ<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

2015年、圧倒的パワーで本塁打王に輝いたころの中村剛也。そのフルスイングは今も昔も不変だ

 ちなみにMLBでは1970~80年代にアスレチックス、ヤンキースなどで活躍したレジ―・ジャクソンが2597三振で1位だが試合数は2820試合、K/Gは0.92だ。

「1」を超えているのは中村とブライアントだけ

 NPBで三振数が1000を超える選手は74人いるが、K/Gが「1」を超えているのは、ラルフ・ブライアントと中村だけだ。

 近鉄で1988年から1995年までプレーしたブライアントはわずか773試合で1186三振を記録。K/Gは実に1.53、1993年には204三振を記録。シーズン200三振はこの1例だけ。2位(1990年198三振)、3位(1989年187三振)もブライアントと三振記録の「神」ともいうべき選手だが、同時に本塁打王3回、打点王1回を獲得している。

 余談だが――筆者はこの6月、北海道でブライアントに会ってきた。独立リーグ、北海道フロンティアリーグの士別サムライブレイズの監督をしているのだ。「ミスターブライアント!」と声をかけて写真を撮らせてもらった。現役時代はエディ・マーフィに似ていると言われたが、61歳の今はちょっと違っていた。

 それはさておき、ブライアントを除けば、中村剛也が三振の量でもペースでも群を抜いていることが分かる。

<年間100三振を記録した回数のランキング>
 12回 Tローズ、中村剛也
 9回 清原和博、広沢克己、丸佳浩
 8回 秋山幸二、新井貴浩、松田宣浩
 7回 池山隆寛、Aカブレラ、Aラミレス、中村紀洋、村田修一

 中村剛也は一軍実働20年のキャリアで12回もシーズン100三振を記録している。タフィ・ローズと並び最多だ。シーズン最多三振は4回。現役では巨人の丸佳浩が9回、松田宣浩が8回でこれに続いている。

 ちなみに史上最多の868本塁打を打った王貞治はK/Gは0.47(1319三振/2831試合)だ。王は1959年に巨人でデビューしたが、1962年に一本足打法を編み出す前は、三振が多い荒っぽい打者で「王、王、三振王」と言われた。しかし1960年に101三振を記録したのが最多で、100三振以上は1回だけ。

 また本塁打数2位、657本塁打の野村克也のK/Gは0.49(1478三振/3017試合)だ。シーズン100三振は2回しか記録していない。

昭和と平成で変わった「投手の奪三振スタイル」

 昭和の時代、投手は速球、カーブ、スライダーなど少ない球種で打者を攻めて「打たせて取る」投球が中心だった。奪三振数は平成以降に比べれば少なかった。それと比例するように、打者もそれほど三振数は多くなかった。そんな中で主に外国人選手がぶんぶん振り回して「大型扇風機」と揶揄されていた。

 しかし平成以降、その傾向が変わりはじめる。

【次ページ】 イチローや吉田正尚のような巧打者も凄いけど……

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