酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
巨人の素直な苦労人ウォーカーは「外国人スカウトの新鉱脈」? メジャーと無縁もスゴい強打+素人同然の守備に「亀井コーチ効果」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2022/07/05 06:00
今や巨人打線に欠かせないウォーカー。独立リーグなどアメリカで培った打撃と、亀井コーチとともに向上した守備により日本で花開いた
その甲斐あって、ウォーカーは6月28日の中日戦で2度も本塁で走者を刺した(うち1回はショート経由)。打撃だけでなく、守備でも長足の進歩を見せている。
同じ巨人の新外国人選手だが、ポランコとウォーカーでは見えている景色が違うはずだ。MLBで823試合に出場したポランコにとって巨人は、自身が経験した中では「上から2番目のリーグのチーム」だ。ロッカールームや様々な設備、待遇についても比較しながらプレーしていることだろう。
しかしアメリカでは「ハンバーガーリーグ」と言われるAAAしか知らないウォーカーにとって、巨人は「夢のリーグ」のはずだ。独立リーグ時代、お客は入って数千人。3万人もの観客の前で野球をするのはおそらく初めてだ。
奇跡のような幸運で「ジャパニーズドリーム」を
しかも移動はグリーン車、モーテルではなく一流ホテルに宿泊し、自分で用具を持つことなく球場入りすることができる。ウォーカーは奇跡のような幸運で「ジャパニーズドリーム」を手にしたと思っているのではないか。
角中勝也や又吉克樹など、日本の独立リーグからNPBに入って活躍する選手が出ると、スカウトは独立リーグに目を向けるようになった。同様に――ウォーカーの活躍によって、アメリカの独立リーグは「新たな鉱脈」としてスカウトたちに注目されるかもしれない。
<NPB第15週の成績 2022年6月27日~7月3日>
〇セ・リーグ
ヤクルト6試5勝1敗0分 率.833
DeNA6試4勝2敗0分 率.667
巨人5試2勝3敗0分 率.400
中日5試2勝3敗0分 率.400
広島6試2勝4敗0分 率.333
阪神6試2勝4敗0分 率.333
ヤクルトの独走が続き、7月2日にマジック53が点灯。これは7月6日にマジックが点灯した1965年の南海を抜き史上最速である。
・個人打撃成績10傑 ※RCは安打、本塁打、盗塁、三振、四死球など打撃の総合指標
塩見泰隆(ヤ)27打11安3点5盗 率.407 RC7.10
マクブルーム(広)23打8安2本7点 率.348 RC6.27
小園海斗(広)23打11安1本3点 率.478 RC6.19
中野拓夢(神)27打11安1本1点 率.407 RC5.98
ソト(De)19打8安2本7点 率.421 RC5.82
村上宗隆(ヤ)22打5安3本7点1盗 率.227 RC5.81
阿部寿樹(中)20打10安2点 率.500 RC5.55
坂倉将吾(広)22打9安1本3点 率.409 RC5.51
坂本勇人(巨)20打8安2本7点 率.400 RC5.30
宮崎敏郎(De)23打10安2点 率.435 RC5.06
ヤクルトの切り込み隊長、塩見が絶好調。5盗塁は最多。村上は今週も最多の3本塁打をマーク。打点も広島マクブルームやDeNAソト、巨人・坂本と並ぶトップタイの7だった。
・個人投手成績10傑 ※PRはリーグ防御率に基づく総合指標
森下暢仁(広)1登8回 責0率0.00PR3.06
菅野智之(巨)1登7回 責0率0.00PR2.68
原樹理(ヤ)1登1勝6回 責0率0.00PR2.30
濱口遥大(De)1登7.9回 責1率1.17PR1.94
才木浩人(神)1登1勝5回 責0率0.00PR1.92
サイスニード(ヤ)1登7回 責1率1.29PR1.68
大貫晋一(De)1登1勝7回 責1率1.29PR1.68
藤嶋健人(中)2登1H4回 責0率0.00PR1.53
石川雅規(ヤ)1登6回 責1率1.50PR1.30
青柳晃洋(神)1登6回 責1率1.50PR1.30
アンダーソン(広)1登6回 責1率1.50PR1.30
広島の森下は7月2日の巨人戦で8回零封、同じ試合で投げ合った巨人の菅野も7回零封の好投を見せたが、ともに勝ち星つかず。救援ではDeNAの山崎康晃が2セーブ。阪神の浜地真澄ら14投手が2ホールドだった。