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「若者のサッカー離れ」に一石! PSGの“日本開拓とオシャレ戦略”とは「ジョーダンブランドはその1つ」「ディカプリオやリアーナも…」
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images/Yuki Suenaga
posted2022/06/28 17:00
日本ツアーを実施するPSG。そのクラブのカルチャーについて、マネージングディレクターのセバスチャン氏に聞いてみた
「(バルサからの移籍で話題となった)メッシだけでなく、ドンナルンマやセルヒオ・ラモスなど、昨オフは素晴らしい選手が入ってくれて、リクルートメントが非常にうまくいきました。2021-22シーズンは10度目のリーグ優勝を果たして、リーグアンの中でサンテティエンヌと並ぶ最多タイトル数となったこともすごく嬉しいですね。さらに新シーズンは新たな化学反応が発揮されて、もっと活躍してくれるのでは、と思います。
その中で我々にとって日本は――すごく重要なマーケットとしてとらえています。たくさんのファンがいる中で、これまで我々の選手を実際に生で見てもらう場がなかったので、試合に来てもらって楽しんでもらう機会を作りたいと考えていたのです」
「日本のファンはサッカーに対して洗練されている」
21世紀に入って日本はフットボールシーンにおいて重要なマーケットであり続けた。2000年代はレアル・マドリー、バルセロナ、マンチェスター・ユナイテッドなどがこぞって日本を訪れていたが、2010年代に入ってからは“数年に一度来てくれるか”レベルになった。しかしPSGは本気で“開拓すべき市場”と考えているようだ。その理由について聞くと、セバスチャン氏は日本のサッカーファンへの印象も含めてこう答えた。
「個人的にTwitterやLINEアカウントをフォローして、毎年のように日本のファンが増えていっているなと実感しています。そういった理由もあって日本にPSGの公式ストアをオープンしたこともありますし、日本にオフィスを設置するなど、この10年で“日本で何ができるか”に取り組んできました。
その中で日本のファンはサッカーに対してすごく知識があり、洗練されているという印象があります。Jリーグも30年目を迎えるほどの歴史があり、エムボマさんのような海外トッププレーヤーも多く来ているので、リーグ自体も洗練されているのが特徴かなと感じます」
PSGは2018年にシンガポール、19年に中国でアジアツアーを開催している。中国ツアーの際にはインテル、エスパニョールと欧州各国クラブで対戦している一方で、今回はJクラブとの対戦となる。これについてセバスチャン氏は、PSGのレジェンドでJリーグでプレー経験のあるパトリック・エムボマから知見を得ていたのだという。
「エムボマさんからは『Jリーグのクラブは、シーズン中に我々と対戦することになる。そのためチームの状態がいい分だけ、真剣勝負になる。手を抜いたりしないように。気合を入れてプレーしないと……注意が必要だよ』というアドバイスをもらっています(笑)。
Jリーグチャンピオンである川崎フロンターレ、伝統的に強い浦和とガンバの3クラブは、サポーターも非常に多い。そういったチームと対戦できることは光栄ですし、シーズンの頭にすごくコンペティティブな親善試合をやりたかったので、日本に来るのはとてもいい選択だったと思います」
「アパレルなどでオシャレなPSG」という側面
Jクラブと日本サッカーへの知見を深めてきたセバスチャン氏にもう1つ聞きたかったのは、PSGというクラブの立ち位置だ。