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「やる気ないです。アウトです」巨人・坂本勇人と増田陸22歳の“師弟関係”に思い出す、落合博満から“大遅刻”した松井秀喜19歳への忠告「どれだけ遊んでもいいけど…」 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/06/24 11:06

「やる気ないです。アウトです」巨人・坂本勇人と増田陸22歳の“師弟関係”に思い出す、落合博満から“大遅刻”した松井秀喜19歳への忠告「どれだけ遊んでもいいけど…」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

増田陸(右)は坂本勇人に教えを請いながら成長中

 5月5日に一軍登録された増田の名前を一躍、全国区とする決定打となったのは、6月3日のロッテ戦であの佐々木朗希投手から放った先制二塁打だった。

 2回無死三塁から佐々木の161kmのストレートをコンパクトに振り抜いて右中間まで運んだ。

「僕なりにしっかり準備をした結果が、運よく(ライトとセンターの)間に落ちてくれた。素直にいいピッチャーから打てて嬉しいです」

 増田はこう喜びを爆発させた。

 佐々木を想定して前日の試合後からベンチ裏のケージで打撃マシンと打席の間隔を5mほど縮めて打ち込みとバント練習を行った。当日の打撃練習でも1m前で打撃投手に投げてもらい、バント練習では3mほど前に出てボールを転がした。その上で普段は短く持っても指2本分のところを指3本分余してバットを握って打席に立っている。

 佐々木を打ち込むことをずっと考えながら過ごしてきた。試合が終わった瞬間から、次の試合のこと、野球のことしか考えない。

佐々木朗希攻略の前晩にあった“坂本先生”の講義

 そしてそんな増田には、もう1つ、佐々木攻略の前晩に坂本先生の講義があった。

「LINEとかでこうなんですけどって連絡入れたら、しっかり答えてくれます。昨日も試合が終わってからちょっと電話させてもらってアドバイスをもらいました。真っ直ぐのタイミングでいっている中で、変化球のボール球を振ってしまう。そこはどういう風な待ち方をしたらいいんですかね、と聞きました」

 この質問は特に佐々木を意識したものではなかったようだ。ただ、結果的にはあの160km超えのストレートとフォークのコンビネーションの中で、坂本のアドバイスはしっかりフォークを見送り、真っ直ぐを仕留めるヒントになったはずである。

 一心不乱に野球に打ち込むことができる。それも1つの才能なのだ。ただ、その才能に気づかせてくれ、いつも目を光らせて助言を与えてくれる先生がいる。そういう師と出会えることもまた、選手が大きく羽ばたくための大事な要素なのかもしれない。

 松井さんには師でもある長嶋終身名誉監督と共に、ベンチの先生として落合さんがいた。そして増田にも……現役屈指の打撃技術を持つベンチの先生がいるということだ。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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