プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「やる気ないです。アウトです」巨人・坂本勇人と増田陸22歳の“師弟関係”に思い出す、落合博満から“大遅刻”した松井秀喜19歳への忠告「どれだけ遊んでもいいけど…」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2022/06/24 11:06
増田陸(右)は坂本勇人に教えを請いながら成長中
「休みの日以外、一日中、野球のことを考えるくらいの気持ちじゃないとあかんで」
休みに羽を伸ばすのはいい。でも常にまず第一に野球のことを考え、日常生活でも野球を軸に動くことを求めたのだ。
その言葉を刻んで増田は坂本を見習い、今年はキャンプから朝晩のストレッチを入念に行って、しっかり体調管理をしてきた。持ち前の負けん気と天性のバッティングセンスだけでなく、日々を野球に捧げてきたそんな生活は、3月の支配下登録から5月5日の一軍昇格、そしてその後のブレークと無関係ではないだろう。
「すべてを野球のために捧げろ!」
この金言に、実はもう1組の“師弟関係”を思い出した。巨人時代の松井秀喜さんと“落合先生”だ。“落合先生”とはもちろん3度の三冠王に輝いたあの元中日監督・落合博満さんのことである。
落合「松井の最大の欠点って何だと思う?」
松井さんの師といえば、真っ先に思い浮かぶのは、長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督であることは言うまでもない。入団1年目から始まった4番育成1000日計画。試合後や移動日に東京・田園調布にある長嶋さんの私邸地下室で行われた打撃指導が、スラッガー・松井秀喜を作り上げる根幹となった。
だが、そんな長嶋さんとの関係とは別に、松井さんがバットマンとして敬服し、実はその言葉の一つ一つに耳を傾けていたのが落合さんだった。
「バッティングの話を聞いていて一番、納得できるのは落合さんだった」
後に松井さんが2人の関係をこう振り返るのを聞いたことがある。
「松井の最大の欠点って何だと思う?」
一方、落合さんとゴルフをしていたときに、いきなりこう問われたこともあった。