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将棋PRESSBACK NUMBER
「ぼくのゆめは、しょうぎ名人だ」小学校3年での決意を21歳で現実に…「中学生棋士」谷川浩司と藤井聡太に共通する“母親の支え”
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2022/06/15 11:00
若き日の藤井聡太五冠と谷川浩司九段には共通点があったという
《私があの対局で負けて昇級できなかったら、ショックで何年間もC級2組に足踏みしたかもしれません。勝負の怖さと勝つことの難しさを痛感しました。「地獄」というものを初めて見た思いです。そして、自分の強運を感じました。それが良い経験となり、以後は昇級などの大きな対局で、震えることがなくなりました》
「谷川、もっと学校を休め」「何より体育を」
谷川は神戸市の滝川高校に進学した。学業は優秀だったが、対局日程が詰まる状況になると、授業の出席日数が不足してきた。
しかし、級友たちは「谷川、もっと学校を休め」と、将棋に理解を示して激励した。学年主任の教諭も「学校に来たら、何より体育を受けなさい」と親身に助言した。私立なので柔軟に対処してくれた。
1981年に高校を卒業。将棋に打ち込む時間が増え、公式戦でさらに活躍した。
1982年度のA級順位戦で、谷川八段は大山康晴十五世名人、中原誠前名人らに勝って7勝2敗の成績を挙げた(同門の内藤九段には敗れた)。そして、同成績の中原とのプレーオフに勝ち、1期目で名人戦の挑戦権を得た。
谷川は1983年の名人戦で、前期名人戦で中原名人を破って悲願を達成した加藤名人に挑戦した。
〈第2回に続く〉
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