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長谷部誠いわく「お前はイメージで損してる」 鎌田大地が語る“号泣EL優勝の真相と大舞台での強さ”「うーん、なぜでしょうね。ただ…」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by Angel Martinez - UEFA/Getty Images
posted2022/06/14 11:01
ELトロフィーを満面の笑みで持つ鎌田大地。ファイナルで号泣した真相とは?
「あのマンガみたいに、ずっと両手と両足にオモリをつけて坂道ダッシュを繰り返していたんです」
まるでスポ根マンガみたいな1日のサイクル
この取り組みは中学の終わり頃に始めたと記憶しているが、そこから東山高校へ進むと、スポ根マンガ的な生活が加速してくる。当時の1日のサイクルはこんな感じだ。
朝5時起床
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始発列車で登校
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朝練として、サッカーの練習以外に両手と両足にオモリをつけた上での坂道ダッシュ
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アスリートに必要な体力回復のために、授業中はほぼ睡眠(*良い子はマネしてはいけない)
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放課後にチームでの練習
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チーム練習が終わってから、自主練習をギリギリまでやる
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23時に帰宅
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泥のように眠る
他にも、中学生の時に「サッカーが上手くなりたい」と親に懇願し続けた結果、高知県にある、願いをかなえてくれるお寺を見つけてもらい、お参りにいった。なお日本代表になった現在まで、毎年、そのお寺には通っている。
たとえば、日本代表の先輩で(現在は鎌田に与えられている)9番を背負ってきた岡崎慎司や中山雅史が気合いや根性を試されるトレーニングをしていたとしたら、多くの人が納得するだろう。
では――鎌田がスポ根的で猛烈なトレーニングをしていた姿を、どれほどの人が想像できるだろうか。
それは「鎌田大地」というアスリートに対する、先入観があるからかもしれない。
鎌田は話をするのが大好きで、短い言葉でパンチのある表現をポンポン繰り出せるセンスがある。一方で普段は淡々とした表情で、ボソボソと話す。その影響もあるのだろうか、聞き手を笑わせられる話術の持ち主であることが世間にはほとんど伝わっていない。
だから、フランクフルトのチームメイトで日本代表のレジェンド長谷部誠にも、よく呆れられる。
「オマエはマジで、周囲からのイメージで損していることが多いよな。もっと、上手くブランディングすればいいのに……」
「俺は大損している」といつも思っていますよ
先輩のアドバイスは的を射ている、と鎌田自身も感じている。
「『俺は大損している』といつも思っていますよ。まぁ、でも別に、自分からわざわざ発信して、有名になりたいとも思わないですしね。それに、よく絡んでいる人は、僕がそれだけのトレーニングをやってきていることや、熱いものを持っているのをわかってくれていますから。
ただ、僕は『オマエが父親をしている姿なんて想像できない』とよく言われますけど、それは違います。俺、めちゃくちゃ家族を大事にしていますから」
ピッチを離れた鎌田は愛息といつも一緒にいる。愛息は膝や肩の上、片手を占領して、寝ている時以外はいつも、くっついている。