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ビエルサ、グアルディオラにポゼッションで上回りドロー 選手交代とマッチアップの妙を検証
posted2020/10/15 17:02
text by
赤石晋一郎Shinichiro Akaishi
photograph by
Getty Images
後編「ビエルサ考案『4-1-1-1-3』の“ORIGINAL”な衝撃 『システムは10個』と豪語するワケ」もご覧ください。
10月3日、エランド・ロード(リーズ・ユナイテッドの本拠地)で行われたリーズ・ユナイテッド対マンチェスター・シティは注目の1戦となった。
マルセロ・ビエルサとペップ・グアルディオラという稀代の名将と呼ばれる2人の8年ぶりの再戦である。
気温12度、冷たい小雨が降るヨークシャーで行われたリーズのホームゲームは、“美しい試合”と絶賛された2011-2012シーズンのリーガエスパニョーラ12節(アスレティック・ビルバオ対バルセロナ)、雨中のサン・マメスで行われたビエルサとペップの闘いの再現が期待された。
(https://number.bunshun.jp/articles/ー/844993?page=4 参照)。
ホームのリーズのシステムは4-1-4-1という通常の形、マンチェスター・シティも4-3-3といつものシステムで試合に臨んだ。
「ビエルサは私がサッカー界で最も尊敬している人物」
前節、レスターを相手に2ー5の大敗を喫していたペップにとっては負けられない1戦だった。最大のライバルであるリバプールとの差をこれ以上、広げるわけにはいかないとも考えていたはずだ。一方でリーズは昇格組ながら現在2連勝中と波に乗っており、その将はペップが師と仰ぐビエルサ監督である。試合前会見でペップは、最大限のリスペクトを感じさせる言葉でこう語った。
「ビエルサは私がサッカー界で最も尊敬している人物だ。監督としても、人間としてもね。彼のような存在は他に類を見ない。特にピッチ上での振る舞いや、メディアとの関わり方は学びになる。かつてスペインで彼と共に過ごすことができたことは、とても幸運なものであり、また刺激的でもあったね。
ただ私の持つ理論は、彼の知識からは遠く及ばないように感じる。だから彼がプレミアリーグにいることは、良いプレゼントだと思っているよ」
一方、ビエルサは試合前会見でこう語った。
「クロップはクロップ、グアルディオラはグアルディオラ、私は私であって単純な比較などできません。自分は決してペップの師匠ではない。
1つ思うのがグアルディオラはサッカーに大きなダメージを与えた、と言うことです。なぜなら、グアルディオラと戦う多くのチームが、(システムも戦い方も)自分の目指すサッカーを実行する代わりに、"いかにして守るか"というシステムを作り上げてしまったからです」
ビエルサは独特の言い回しでペップのサッカーを賞賛し、同時に現代サッカーに横たわる問題も指摘した。その示唆に富んだ言い回しは、シティ戦では自分は“違う”サッカーを見せるという意思表示にも聞こえた。