核心にシュートを!BACK NUMBER
長谷部誠いわく「お前はイメージで損してる」 鎌田大地が語る“号泣EL優勝の真相と大舞台での強さ”「うーん、なぜでしょうね。ただ…」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by Angel Martinez - UEFA/Getty Images
posted2022/06/14 11:01
ELトロフィーを満面の笑みで持つ鎌田大地。ファイナルで号泣した真相とは?
過去に左方向に蹴って外した記憶が頭に残っていた。たとえば、2018-19シーズンのシント・トロイデン時代にはリーグ戦で2度PKを蹴っているのだが、2回目は左方向に蹴ろうとしてゴールマウスの左に外してしまった。
今回のELで初めて右方向に蹴ったボールは、右ポストをかすめてゴールネットを揺らした。GKはシュートスピードに遅れていたし、タイミングが合っていたとしても手が届きそうにないコースだった。
PKまで外して負けたら僕は完全に戦犯だった
PKが決まったのを確認した鎌田は、思い切り右のこぶしを振りぬいて、喜びを表現した。
「試合中にチャンスを2本ほど外していましたからね。PKまで外して、チームが負けたら、僕は完全に戦犯だったので」
自嘲気味に振り返る鎌田だが、劣勢の状況や強敵との試合でゴールを決めるのを得意としている。格上を次々と破っていった21-22シーズンのELではもちろん、20-21シーズンのブンデスリーガでもゴールは格上相手に決めたものばかりだった。
第3節 ホッフェンハイム 対戦時は首位
第10節 ドルトムント 対戦時は4位
第22節 バイエルン 対戦時は首位
第25節 ライプツィヒ 対戦時は2位
第28節 ヴォルフスブルク 対戦時は3位
“格下相手にしかゴールを決められない”と批判される選手は数多くいるが、“格上相手にしかゴールを決めない”鎌田は珍しいタイプだ。
「うーん、なぜでしょうね。ただ、練習の方法だったり、苦しい経験だったり、自分が積み重ねてきたものには自信があります。その積み重ねがあるから、どんな試合でも自信が持てるのかもしれませんね」
しかし、「大舞台で力を発揮できる強心臓の持ち主なのでは?」という問いには、鎌田はこう答える。
「いや、僕なんかより、はるかにメンタルが強い選手がヨーロッパにはゴロゴロいますから。あのPK戦でも、僕の前に蹴った2人は、今シーズンそれほど試合に出ていなかった。それなのに『オレが蹴りたいです』と立候補していました。『アイツら、メンタル強いなぁ』とハセさんと話したくらいですから。僕もまだまだですよ」
そう謙遜して、鎌田は笑顔を見せた。その笑顔の奥には、ヨーロッパでの厳しい生存競争を勝ち抜いていくのを楽しんでいるかのような、野望に満ちた目が光っていた。
<#3へ続く>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。