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「日本一偏差値が高い」東大野球部の文武両道エリートはどんな一流企業を選ぶ? 過去31年間の就職先ランキング…2位は電通・NHK、では1位は?
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph bySankei Shimbun
posted2022/06/11 11:03
東大野球部時代の宮台康平投手と喜入友浩捕手(右、2016年撮影)。宮台は17年ドラフト7位で日本ハム入り。喜入は17年にTBSに入社しアナウンサーに
また、初代iPhoneが07年に登場すると、スマホの普及は、10年代になって世界的に加速。IT分野で新たな企業や仕事が勃興するとともに、巨大プラットフォーマー4社を指すGAFAが広く知れ渡り、その影響力を世界は無視できなくなった。
こうした状況下で、日本でも、デジタル化への対応やイノベーションの創出が図られた。働き方改革も進み、社会や経済に対して、これまでにない変化が促されている時期だといえよう。
優秀な若者にとって、変革の時代とはチャンスの時代である。エキサイティングな世相にあって、東大野球部卒部生の進路で最も多いのは、やはり就職だった。
就職組でまず目につくのは商社への入社の多さである。商社を選んだ者の割合は過去それぞれの10年に比べ、10~14%も増加した。企業別にみても、三菱商事が5人とトップで、前の10年間から続いて東大野球部と同社のつながりは深いと思われる。他にも住友商事5人、三井物産4人、伊藤忠商事3人、丸紅1人と5大商社をおさえて隙がない。
かつては世界中の商品を右から左へ流すトレーディング業務で稼いでいた商社業界は、00年代以降は事業会社に投資し、その事業環境を整えつつ経営にも参画する手法で収益を大きく伸ばしている。01年に三菱商事がローソンの筆頭株主になり、02年に社長を送り込んだのはいい例だろう。あらゆる業界の事業に当事者としてタッチできる商社のビジネスモデルは、知力と体力とガッツあふれる若手には、魅力的に映るだろう。
三井不動産5人、三菱地所2人…一気に増えた「不動産業界」
銀行の人気は復調気味で、入行者は就職者全体の12%。そのうち注目は、17年から19年の3年連続で日本政策投資銀行に進んでいる点だ。一般的には、みずほ銀行や三井住友銀行といったメガバンクへの就職が人気だが、東大野球部卒部生は、投資銀行業務への関心が高いのだろうか。モルガン・スタンレーや農林中央金庫へ進んだ者もいるし、さらに言うなら、野村証券の2人も、投資銀行業務への配属希望の可能性もある。
生損保業界への就職は、前期および前々期と比較してもとくに変わらず。業界ガリバーの日本生命と、東京海上日動火災への入社組が目立った。