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那須川天心vs武尊“衝撃のフジテレビ撤退”が想起させる「PRIDE消滅」の悲劇… いまや「格闘技はPPVで見る時代」なのか?
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySusumu Nagao
posted2022/06/04 06:01
「THE MATCH 2022」の実行委員を務める榊原信行氏は、5月31日の記者会見でフジテレビに「戻ってきてほしい」と訴えかけた
「フジテレビさんに戻ってきてほしい」
会見の席上、榊原氏は実行委員会から退任する覚悟があることも口にした。
「(フジテレビ局内で)格闘技に対してすごく前向きな意見を持ってコンテンツとして取り上げていただける役員の方もいれば、やっぱり格闘技はやめようという意見の方もいるでしょう。これは好き嫌いの問題なのでなんとも言えませんが、きっと社内でいろいろな意見が出たんだと思います。その中でやっぱり放送は難しいというような空気感が出てきたんだとは思う。僕がいることでネガティブなネタにされるのなら、退くこともやぶさかではないとお伝えしました」
かつて地上波の格闘技番組のブレーンをした経験のある筆者にとっても、思い当たる節のある話だった。実際、格闘技に対して最初からネガティブなイメージを抱く局員は少なからずいる。榊原氏は、自分やRIZINを運営するドリームファクトリーワールドワイドが抜け、K-1とRISEに運営を任せれば、フジテレビが放送しない理由はないとも主張した。
「極論、(私が)どいたうえに、かつ信頼がK-1さん、RISEさん、格闘技にないなら、信頼できる企業に参画いただいて新しく実行委員会を組成すれば問題ないでしょう」
大会開催まであまりにも時間がなさすぎるため新たな実行委員会作りは現実的ではないが、榊原氏は自分がいなくなっても構わないので、地上波放送を検討してほしいと懇願した。
「もう一回、フジテレビさんに戻ってきてほしい。そう思っています。天心も武尊もこの試合が地上波で放送されることを期待しています。フジテレビさんが納得する形に(大会の枠組みを)いくらでも変えますよ。断られても諦めきれない。そんな思いでいます」
今回の放送中止は、今後のRIZINのフジテレビでの放送にも少なからず影響を与えるとみられる。そのことは榊原氏も否定しなかった。
「まあ、影響するでしょうね」
格闘技界にとって、あまりにもダメージが大きい放送中止劇。覆水は盆に返るのか。
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