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那須川天心がホームリングRISE卒業マッチで大苦戦した“2つの理由”とは? 6.19武尊戦では“減量失敗”は許されない
posted2022/04/25 11:00
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Susumu Nagao
4月2日、那須川天心はホームリングを卒業した。ホームとはキックボクシングに特化したプロモーションであるRISE。中学時代いろいろなジムに出稽古に行き、RISEの伊藤隆代表が会長を務めるTARGETを選んだ。
父・那須川弘幸氏と伊藤代表の波長が合ったことも大きかったが、当時体育館を借りる形で練習していたTEPPEN GYMの先輩がTARGETで実り多き練習をしていたことが決め手となった。
'14年のプロデビュー以降、地上波放送もあるRIZINに上がることもあったが、故郷には背を向けなかった。それはそうだろう。那須川は自身がスターになるとともに、RISEを土台にキックボクシングをメジャーにすると決めていたのだから。
RISEは実力が拮抗する者同士のマッチメークを組む。ややもするとこう着が生まれやすい流れながら、それでもKOが多い。それはトップの那須川のリスクを冒しても倒すという思考に影響されたからだろう。果たしてこの日も出場選手のモチベーションは高く、セミファイナルまでの本戦全11試合中8試合がKO決着となった。
同門対決で苦戦した“2つの理由”
その勢いでメインの那須川も……と期待していたファンが多かったはずだ。しかしながら風音との禁断の同門対決は、那須川が「こんなに殴られたのは初めて」とぼやくほどの接戦となった。本戦が終わった時点で筆者は延長戦を予想したが、2名の審判は那須川の適正打を支持した。
なぜ苦戦したのか。ひとつは想像以上の風音の頑張りが挙げられる。試合が決まった時点で「軽く勝てる」と楽観視した息子の態度にムカつき、風音のセコンドに就いた弘幸氏の“息子殺し”ともいえる戦略が功を奏したか。
もうひとつは那須川の減量失敗。調整中に思うように体重が落ちず、計量直前には2時間で4kgという急激な減量を余儀なくされた。その影響か、この日はいつもの技のキレもなければスピードもなかった。
それでも、勝ちは勝ち。那須川はキックの戦績を41戦全勝(28KO)とした。ボクシング転向前のファイナルマッチは6月19日東京ドームでの開催が決定したK-1のエース・武尊との夢の対決。調整失敗はもう許されない。