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「もう試合は終わりと分からせる」巨人の守護神・大勢が“もっと相手を威圧できる”方法とは?《昨年の広島・栗林以上のペースでセーブを記録中》 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/05/30 17:03

「もう試合は終わりと分からせる」巨人の守護神・大勢が“もっと相手を威圧できる”方法とは?《昨年の広島・栗林以上のペースでセーブを記録中》<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

9回を抑え、吠える大勢。ルーキーにして絶対的な守護神の座に就いている

 一夜であっさり癖を消し去って、翌日には逆に見切られたフォークを武器に3球勝負を挑んで三振を奪った。大勢は開幕2試合目で真っすぐとフォークによるパワーピッチをとり戻したのである。

 そこから今季の快進撃は始まった。

昨年の栗林よりも早いペースでセーブを記録

 交流戦2カード目の日本ハム戦終了まで22試合に登板して1勝1敗18セーブ。失敗は5月8日のヤクルト戦の1回だけで、失点した試合もそのヤクルト戦を含め3試合のみ。同じルーキークローザーとして昨季の新人王を獲得した広島・栗林良吏投手は、昨年5月28日のロッテ戦でセーブを記録しているが、それがシーズン10セーブ目。昨年の栗林との比較でも大勢の勢いの凄さが分かるというものである。

 東京ドーム。もちろん9回、巨人がリードしていれば、スタンドのファンは大勢の登場を待ちわびる。その中で背番号15がベンチからグラウンドに出てくるときがドームのボルテージが最も上がる瞬間でもある。登場曲の「劇場版鬼滅の刃」の劇伴音楽「炎の呼吸 壱ノ型 不知火」が流れ、炎をテーマに新たに作り直された登場ビデオが大型ビジョンに流れるようになった。

 ただ……ただ、である。

 どうせならもっとメジャー流にドラマチックにこのスーパークローザーの登場を演出して、大勢の登場を東京ドームの一つのイベントにして欲しい。そうした方がもっとファンも喜び、それが東京ドームで野球を観る1つの楽しみになるはずだ。

 その演出はメジャーのように最初に登場曲のイントロが流れて、音によって大勢の登場を知らせる。同時に場内照明を少しだけ点滅させてもいい。そうしてそのイントロに合わせてビデオが流れる中、大勢が悠々とベンチから出てくる。登場にファンが盛り上がったところに、場内アナウンスが大勢の名前を知らせるという方法だ。

 球場が盛り上がることが、クローザーにとっては追い風になるのであれば、チームももっともっと大勢を盛り上げるべきだろう。

 コロナ禍で観客の入場制限を続けてきた影響がまだまだ残っている東京ドームの、今季の平均観客数は3万276人(5月29日現在)だ。大勢の登場がグレードアップし話題になれば、なかなか満員にならない東京ドームの集客にも、一役買うことになるはずである。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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