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「もう試合は終わりと分からせる」巨人の守護神・大勢が“もっと相手を威圧できる”方法とは?《昨年の広島・栗林以上のペースでセーブを記録中》 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/05/30 17:03

「もう試合は終わりと分からせる」巨人の守護神・大勢が“もっと相手を威圧できる”方法とは?《昨年の広島・栗林以上のペースでセーブを記録中》<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

9回を抑え、吠える大勢。ルーキーにして絶対的な守護神の座に就いている

 実は開幕直後にこんな話を聞いた。

 3月25日の中日とのオープニングゲーム。2点をリードした9回、原辰徳監督はセーブシチュエーションのこの場で大勢をマウンドに送り込んだ。先頭の平田良介外野手は2ボール2ストライクから空振り三振。しかしそこから1番に戻った大島洋平外野手、2番の岡林勇希外野手の連打を浴び、さらに内野ゴロの2死一、三塁から4番のダヤン・ビシエド内野手に死球をぶつけて満塁のピンチを背負った。

 それでも最後は5番の木下拓哉捕手を投ゴロに打ち取り何とか逃げ切りプロ初セーブを挙げている。

 投球数27。ただこの27球の中には、実は不思議な現象が隠されていた。27球の内訳は真っ直ぐが21球でスライダーが1球。そして残る5球はフォークだったが、そのフォークのすべてが見切られてボールとなってしまっていたのである。

中日の打者はフォークを見切って振らなかった

 ある評論家から聞いたのだが、このとき大勢にはフォークを投げるときに癖が出ていたというのだ。それが分かって中日の打者はフォークに対してピクリともせず、すべてを見切って振らなかった。

 それがこの5球投じたフォークが、すべて見逃しのボールとなった理由だったのである。

 しかしその評論家が本当に驚いたのは、その翌日だったという。

 再び2点差の9回にマウンドに上がった大勢は、前日と同じ先頭の平田を2ストライクからフォークで空振り三振、続く大島もフォークで空振り三振、そして岡林は真っ直ぐで中飛に打ち取り、危なげなく三者凡退で2セーブ目を挙げた。

 そう、癖は1日ですっかり消えていた。フォークをピクリとも動かず見送られたことに異変を感じ、すぐさまチェックして対応してきた。普通ならそう簡単に癖は直せない。癖を直そうとすると他のところに新しい癖が出たり、また気にしすぎてピッチングに影響が出ることもある。

 しかし大勢は器用だ。

【次ページ】 昨年の栗林よりも早いペースでセーブを記録

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