プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「もう試合は終わりと分からせる」巨人の守護神・大勢が“もっと相手を威圧できる”方法とは?《昨年の広島・栗林以上のペースでセーブを記録中》
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2022/05/30 17:03
9回を抑え、吠える大勢。ルーキーにして絶対的な守護神の座に就いている
「マリアノが出てきてスタジアム全体で相手を威圧して」
「マリアノが出てきてスタジアム全体で相手を威圧して、もう試合は終わるんだということを相手チームに分からせる。そのためにはメタリカのイントロが流れた瞬間から始まる、あの球場全体の盛り上がりが一番だろ!」
実は横浜の山崎康晃投手がクローザーを務めていたときの、“康晃ジャンプ”にも同じ効果があったように思える。登場曲であるゾンビ・ネーションの「ケルンクラフト400」のイントロと同時に始まる“康晃ジャンプ”には、確かに球場全体で相手チームを威圧し、マウンドのクローザーを後押しするような効果があったように感じる。
そして“康晃ジャンプ”の演出は、球場を訪れるファンにとっては最大のサービスだった。9回、横浜が勝っていれば、スタンドは「ケルンクラフト400」のイントロが鳴り出すのを今か今かと待ち望み、イントロが流れ出した瞬間に歓声と共にジャンプが始まる。
これは球場に来なければ味わえない観戦の醍醐味であり、そしてあのジャンプは確実に山崎のピッチングを後押ししていたはずである。
開幕からクローザーの大役を担う巨人のルーキー大勢
そこで巨人の大勢である。
このコラムでも開幕前にシーズン中のクローザー起用があるかもしれないと書いたが、クローザー候補だったルビー・デラロサ、チアゴ・ビエイラ両外国人投手の絶不調もあり、予想を大きく上回って、いきなり開幕からその大役を担うことになった。
しかもその大役を任されてみれば、大勢自身がリリーバー希望であったこともあり、先発よりも適性ポジションがクローザーだったことを証明する活躍だ。まさに水を得た魚のようにフル稼働して結果を出している。
155km前後の真っ直ぐにサイドから投げ込むフォークボールは曲がりながら落ちる。制球はまだまだアバウトだが、腕が振れているから多少、甘く入っても相手が打ち損じたり、ボールの勢いで抑え込める。
そして器用なのである。