大阪桐蔭にとっても、夏を迎える前に味わった悔しさは、プラスに変えられる。

　前田は、課題が明確になったと語った。

「少し甘く入ると智弁和歌山打線は全部捉えてきたので、甘い球をなくすというのが一番の課題。夏には厳しいゾーンに投げられるように、徹底してやっていきたい。自分が連勝を止めてしまったと言っても過言ではないので、一から夏に向けて、絶対にチームを勝たせる、負けないピッチャーになることを目標にしっかり頑張っていきたい」

　西谷監督も、「もちろん勝ったほうが人間、気分はいいですけど、やっぱり負けから学ぶこともたくさんある。これを収穫にしないといけない。明日から、本当の夏の戦いが始まりますので、しっかり準備したいなと思います」と夏の山に向け、仕切り直す。

校歌をうたう智弁和歌山の横で、悔しそうな表情を浮かべる大阪桐蔭ナイン　©︎Noriko Yonemushi

　大阪府も和歌山県も強豪校がひしめき合い、予選を勝ち抜くことも決して容易ではないが、夏連覇を目指す智弁和歌山と、春夏連覇を狙う大阪桐蔭の、夏の再戦を期待せずにはいられない。そんな好ゲームだった。