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「新チームになって初めて負けた」大阪桐蔭の“30連勝”を阻止した智弁和歌山の“小刻みな継投” 夏連覇を目指す中谷監督「まだまだ」
posted2022/05/30 11:06
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Noriko Yonemushi
センバツの覇者・大阪桐蔭の連勝を止めたのは、昨夏の甲子園王者・智弁和歌山だった。
大阪桐蔭は新チームがスタートして以降、秋の大阪大会、近畿大会、明治神宮大会と勝ち続け、公式戦無敗のまま今春のセンバツを制した。その後、春季大阪大会、近畿大会で連勝を29まで伸ばしていた。勝てば30連勝となった5月29日の近畿大会決勝で、その大阪桐蔭を、智弁和歌山が3-2で破り、ついに連勝が止まった。
智弁和歌山の岡西佑弥主将は、「うれしいの一言です」と晴れやかな笑顔だった。
「やっぱり大阪桐蔭を倒さないと、夏の連覇もないと思うので、倒せたことは大きい。でもまだまだ課題があるので、ここで満足することなく、夏連覇に向けてもう一度練習していかないといけないなと思います」
一方、大阪桐蔭の星子天真主将は、「新チームになって初めて負けたので、本当に悔しい。これが負ける気持ちなんだって、感じています」と絞り出すように言った。
2年生左腕・前田「甘いゾーンに入ってしまった」
試合は初回から動いた。大阪桐蔭の先発は、昨秋1年生ながら大黒柱の活躍を見せ、センバツでも13イニングを投げ自責点0だった左のエース・前田悠伍。1回表、その前田から、智弁和歌山の1番・山口滉起がレフトスタンドへ鮮やかな先頭打者本塁打を放ち、先制した。
その後、2死満塁の場面で、前田はショート正面のゴロに打ち取ったが、守備にミスが出て2点を追加され、智弁和歌山が3-0とリードを広げた。
前田はこう悔やむ。
「(山口の本塁打は)甘いゾーンに入ってしまった。立ち上がりは智弁和歌山打線に対して、様子を見るというか、少しそっと入ってしまった。100%の力で行けなくて、80%ぐらいの力で行ってしまったのが反省点。(智弁和歌山は)準決勝も打っていましたし、初めて対戦するチームということもあったので。どんなチームにも最初から100%の力で投げ込んでいけるようにしないといけない」
前田は2回以降立て直し、その後は無失点に抑えて完投したが、結果的に初回の3失点(自責点1)が大きく響くことになる。