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「一体、私は誰のために滑っているのか」止まない誹謗中傷、挫折…どん底の本田真凜を救った“浅田真央の1時間レッスン”
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byMiki Fukano
posted2022/05/30 11:04
フィギュアスケーターの本田真凜。「浅田真央2世」と呼ばれた天才少女の今に迫るロングインタビュー
くじけず練習に励む姿は、はたから見ても大きな変化だった。
「びっくりしていましたね。家族もそうですし、身近な先生、スケーターのみんなも。『一回スイッチが入ったらすごい』とたくさんの人に言われて」
全日本選手権では、ショートプログラムで3回転-3回転の連続ジャンプを成功させた。試合を終えたあとも、近年にはなかった笑みがこぼれた。
「人に嫌われたくないから滑るのではなく、自分のために滑る」
ジャンプを跳ばなかった期間を考えれば、「よく戻せたと思います」。
「成長具合で言えば、昨シーズンが自分の中では一番振り幅として大きかったんじゃないかなと思ってて。今は、ちょっとでもオフがあると『やばい』と思う(笑)。もう戻りたくないと思うので。全日本選手権の後、同世代で『ここから2週間休む』と言っている人がいて、『やめとき!』と言ってました(笑)」
いつかしか、葛藤も薄れていた。ある思いに達したからだ。
「人に嫌われたくないから滑るのではなく、自分のために滑る」
自身の今後のスケート人生をも思い描き、導いたこたえだった。
撮影協力=明治大学駿河台キャンパス/撮影=深野未季
〈#3に続く〉
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