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「ピッチャー根尾昂」に思い出す大阪桐蔭での輝き …大谷翔平は別として“野手で登板”はイチローや2000安打達成者も《巨人・増田大輝の時は賛否》
posted2022/05/22 17:01
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
5月21日、マツダスタジアムでの広島-中日戦で中日の根尾昂が登板した。1-10と大きくリードされた8回にマウンドに上がった根尾は坂倉将吾に右前打を打たれたものの小園海斗を右飛、磯村嘉孝を中飛、中村健人を二ゴロに仕留めた。1回15球自責点0。球速は150キロを記録した。
ひときわ光っていた大阪桐蔭時代を思い出す
根尾は8日のウエスタンリーグ阪神戦でも9回からマウンドに上がり、1死から3連打で失点したものの0.2回を投げた。
中日の立浪和義監督は根尾をすぐに投手に転向させるとか、二刀流で起用する気はないようだ。ただ「根尾に関してはこれからいろんなことを考えないといけない」と語っている。21日の試合後に根尾は登録を抹消され「遊撃手として再スタートさせる」とのことだ。
今季は延長12回制であり、救援投手の負担が増している。立浪監督は、大差がついた試合などでは「野手の登板」もありうると言及していた。
筆者は2018年夏の甲子園を思い出す。
当時の根尾は大阪桐蔭の遊撃手兼投手だった。チームには柿木蓮(現日本ハム)、左腕の横川凱(現巨人)というエース級の投手がいたが、柔らかなフォームで回転のある速球を投げる根尾は、ひときわ光っていた。プロ入り後は伸び悩んでいるが、あの頃の根尾は特別な存在だった。
<根尾の甲子園での投手成績>
17春 2試3回1安3四死2三振 防0.00
18春 3試26回14安13四死26三振 防1.04
18夏 2試13回12安3四死13三振 防4.15
計 7試42回27安19四死41三振 防1.93
MLBでの大打者で投手を経験した野手は?
MLBでは野手の登板は珍しくない。引き分けのないMLBでは投手を節約するために野手がマウンドに上がることは普通にあるからだ。
最近では、現役最多安打のカージナルス、アルバート・プホルスが5月15日のジャイアンツ戦の9回にマウンドに上がり4失点したものの1回22球を投げた。
5月10日にはレイズの外野手ブレット・フィリップスがエンゼルス戦の8回にマウンドに上がりマイク・トラウト、アンソニー・レンドーンに本塁打、大谷翔平には二塁打を打たれた。レンドーンは右打者だが左打席で本塁打を打った。フィリップスは4月11日のアスレチックス戦でも投げている。また2021年も1試合マウンドに上がっている。
野手がマウンドに上がるのは前述したとおり「投手の節約」のためではあるが、同時にファンサービスでもある。少し照れ臭そうにしながら野手がマウンドに上がると、球場から拍手が沸き起こるのだ。
MLBでは3000本以上安打を打った大打者33人のうち、以下の8人が投手としての記録を残している。