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「オルフェーヴルはなぜ負けたんだ」何十回も見直したあの凱旋門賞…カンテレ岡安アナが初めて語る“アナウンサー人生で一番印象深いレース” 

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齋藤裕(Number編集部)

齋藤裕(Number編集部)Yu Saitou

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photograph byTakuya Sugiyama/AFLO

posted2022/05/23 11:01

「オルフェーヴルはなぜ負けたんだ」何十回も見直したあの凱旋門賞…カンテレ岡安アナが初めて語る“アナウンサー人生で一番印象深いレース”<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/AFLO

関西テレビ岡安譲アナ。「(2012年の凱旋門賞は)アナウンサー人生の中で最も印象に残るレース」と明かした

岡安 レース後にフジテレビに中継映像を送り続けるという作業があったんです。それを中継車でこの番組のスタッフになっていた繁田くんと一緒にやりながら、レース映像を何十回と見直して、「なんで負けたんだ。これ、勝ったよな! このレース!」「いや~来年行けるよね」という話になりました。その後、パリ市内で行った打ち上げでも「負けはしたけど、オルフェはオルフェのレースをしてくれた。やろうと思ってもこんな中継できない」なんてみんなで言い合って、入社してから今までで一番晴れやかな打ち上げでしたね。

――岡安さんは翌年に競馬中継から離れ、13年凱旋門賞は実況席に座ることは叶いませんでした(オルフェーヴルは5馬身差の2着)。改めて2012年の凱旋門賞は岡安さんにとって、どんな経験でしたか?

岡安 これまでいろんな仕事をしていますけど、あのレースがピークというか、あれを超えるインパクトのある仕事はできていないですね。一世一代の舞台と思って臨みましたが、本当にその通りでした。日本馬がいろんな海外のレースに出ていますが、僕にとって凱旋門賞の実況だけはやっぱり特別です。実は僕はウチのGI実況に関してはもう後輩に全部譲ってもいいと考えているんです……。

――え! そうなんですか? 昨年は天皇賞・春やエリザベス女王杯などの実況を担当されていましたけど……。

岡安 ただ、スポーツ部のみんな、そして後輩アナウンサーには「国内GIは全部譲ってもいいから、凱旋門賞だけは実況をさせてくれ!」と常々言っています。スポーツ部が最終的には決めるのですが、国内GIは譲ってでも、凱旋門賞の実況はやりたいですね。ただ、今は引き継いでいる過渡期、今年の宝塚記念に関しては実況をやらせてもらう予定です。

――宝塚記念といえば、先輩アナウンサーにあたる杉本清さんの「わたしの夢は~」のフレーズでも知られる伝統のレースですが、今の岡安さんの夢は?

岡安 オルフェーヴルの仔が凱旋門賞制覇を成し遂げる、その瞬間をロンシャンから実況することです。アナウンサーになる前は、関西テレビに入り、クラシック三冠の実況をするというのが夢でした。オルフェーヴルでそれは叶いました。ただ、もう一段上にさらなる夢がありました。それを気づかせてくれたのもオルフェーヴル。彼が見せてくれた夢の続きは、アナウンサーとして僕の唯一の心残りでもあります。世界の頂点に肉薄したオルフェーヴルの仔であれば、チャンスがあると信じていますし、一緒に忘れ物を取りに行きたいですね。

Number1051号「ダービーから世界へ」では、ジオグリフ、イクイノックスの2頭を管理する木村哲也調教師へのインタビューのほか、皐月賞3着ドウデュースの武豊騎手&友道康夫調教師インタビュー、4着ダノンベルーガの堀宣行調教師インタビューで4強の歩みに迫っています。是非お手に取ってご覧ください。

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