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福永祐一「まさに運命の名牝ですね」 シーザリオは日米欧オークスを獲るつもりだった? 今だから明かした“幻の仰天構想”とは
posted2022/05/21 17:01
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph by
Kiichi Yamamoto
今年もオークスが迫った。2005年に同レースを制し、続くアメリカンオークスでも栄光に輝いたシーザリオ。エピファネイアなどを産み、昨年2月に死去した名牝との秘話を、手綱を取った福永祐一が明かす――。これまで有料で公開していた記事を、特別に無料公開します。《初出:『Sports Graphic Number』2021年10月21日発売号/肩書などはすべて当時》
昨年はキャリアハイの134勝。今年、更に上回るペースで勝ち星を量産しているのが12月9日に45歳を迎える福永祐一騎手だ。「調教師という仕事にも大きな魅力を感じています」と明言してから何年も経ったが、今年も願書を提出することはなかった。それもそのはず、最近の4年でダービーを3回も勝っているのだから、ジョッキーという苛酷な仕事を誰よりも楽しんでいる代表格が福永なのだ。
誰も気づかなかった「福永の仰天構想」とは?
'05年、と言えば16年も前の話になる。その夏にゼンノロブロイ(美浦・藤沢和雄厩舎)が武豊騎手とのコンビで英国遠征を敢行。伝統のインターナショナルS(ヨーク競馬場、芝10ハロン88ヤード、GI)に挑戦し、僅かにクビ差及ばずの2着で大魚を逸した。その遠征に、勝負服ではなくビジネススーツで同行したのが福永だった。「騎乗停止になっちゃったので見学に来ました」と照れたような笑顔で言い訳をしていたが、ヨークの起伏に富んだ馬場を、脱いだ上着を片腕に抱えて汗だくになりながらも、丁寧に歩いて見て回っていたのが強く印象に残っている。
「ヨークに行こうと思い立ったのはヨークシャーオークスの下見のつもりでした」