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「クボ、ユニホームお願い」来季のレアル去就報道が出てもマジョルカで愛される久保建英…「残留か降格の最終節」で輝くか〈撮影者の視点〉
text by
中島大介Daisuke Nakashima
posted2022/05/21 06:00
Daisuke Nakashima
後半、マジョルカとしてはリードをこのまま守り切りたい――という気持ちが、悪い方に影響しました。
DFラインが下がり、ラージョの攻勢の前に徐々に押し込まれていきます。前節に続き、レイナのファインプレーもあり、なんとか耐える状況に。アギーレ監督の狙いとしては、守り切るよりは2得点目を奪いにいくため、まだ早いタイミングに思えましたが、久保とダニ・ロドリゲスを呼び、交代の準備を始めました。
しかし、2人の交代は間に合わず、直前の60分、同点となるゴールを奪われてしまいました。
レアル出身の対面のSBにも臆することなく
64分、久保とダニが投入。
右サイドに入った久保は、相手左サイドバックでRマドリー出身のフラン・ガルシアに果敢に挑みます。また相手ボランチ、オスカルは久保が入り込もうとするスペースを警戒してきます。
ドリンク休憩が開けた84分には、イ・ガンインも投入され、マジョルカはなんとか1点を奪いにいきます。このままでは降格の可能性がかなり高くなってしまうため、ゴール裏席からの応援も、歓声というよりは悲痛な叫びに近く、重い空気が漂っていました。
何度かチャンスを作りながらも、同点のまま迎えたロスタイム92分、右サイドのマフェオからのクロスをイガンインが競り、そのこぼれ球は途中出場アブダンの元へ。混戦の中、ボールをコントロールすると冷静にDFの足元を縫う低いシュートを蹴り込みゴール。
残留の可能性を広げる、劇的な勝ち越しゴールに、選手だけでなくスタジアム全体が一気にボルテージを上げました。声を失ってしまうサポーターの姿も。
アウェイのセルタ戦で、後半終了間際になんとか同点に追いつきながらも、最後の最後で一人少ない相手に失点し敗戦した苦い経験もしたマジョルカ。冷静にこの試合を勝ちきり、ホイッスルの瞬間には、久保にもガッツポーズが。
ただし最終節はアウェイでの対オサスナ戦。そのスタジアムは難攻不落とも言われるエル・サダール。カディスの結果次第では、引き分けや敗戦でも残留ができるとはいえ、他会場の結果に合わせて器用に試合をコントロールできるマジョルカではないです。
今季最終試合、敵地で勝ちにいくほかありません。