モーターサイクル・レース・ダイアリーズBACK NUMBER

今季3位表彰台が1度のみ…常勝ホンダがMotoGPで低迷を続ける真相とは?「本来のポジションではない」とプーチ監督も落胆

posted2022/05/20 17:00

 
今季3位表彰台が1度のみ…常勝ホンダがMotoGPで低迷を続ける真相とは?「本来のポジションではない」とプーチ監督も落胆<Number Web> photograph by Satoshi Endo

転んでいそうで転んでいないスペインGP決勝のマルケス。曲芸のようなライディングが今季は特に目立つ

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

PROFILE

photograph by

Satoshi Endo

 もう何度も書いてきたことだが、いまのMotoGPクラスは、ヨーロッパメーカーの台頭で、日本のメーカーは“苦戦”の連続である。それに加えて参戦継続に向けても厳しい状況に置かれ始めているのか、先日、スズキがMotoGPクラスからの撤退を表明した。

 思えば、いまから10数年前、世界経済に大きな影響を与えたリーマンショックでは、カワサキとスズキがMotoGPから撤退。そしていまは、長引くコロナ禍と戦争、カーボンニュートラルへの投資など、企業としてはなかなか先の見えない時代となり、2015年に復帰していたスズキは再び表舞台を去る。

 ホンダもF1からの撤退を決めて、モータースポーツと距離を置き始めている。そういう状況の中で今年のホンダのMotoGPは、コース上の戦いでも一段と厳しい戦いを強いられている。第7戦フランスGPを終えた後に、レプソル・ホンダのアルベルト・プーチ監督が「明らかに、期待している結果ではないし、我々の本来のポジションではない」と現状について語った。

 こうしたコメントは、今シーズンが始まってからほぼ一貫したものであり、特にヨーロッパラウンドに入ってからの3戦、ポルトガルGP、スペインGP、そしてフランスGPでは、より一層明確となり、その対策についてプーチ監督はこう語っている。

「どこを改善しなければならないのかはわかっているし、いま、抱えている問題を解決するためにはもっとテストの時間が必要だ。そのため、引き続き仕事に取り組み、解決策がヨーロッパに届くのを待っているところだ」

 つまりは、正直もうお手上げ。次のニューパーツの到着、もしくは新しいアイデアを待つしかないという厳しい状態をコメントしていた。

マルケスの怪我に始まった常勝ホンダの低迷

 ホンダの低迷が始まったのは、コロナ禍の中でシーズンが始まった20年にマルク・マルケスが右腕上腕を骨折し、長らく欠場したシーズンからだ。マルケス不在の20年は実弟のアレックスが2度表彰台に立っただけで未勝利。マルケスが復帰した21年は、完全な状態ではないなか3勝を挙げた。

【次ページ】 期待のニューマシンがなぜ…

1 2 3 NEXT
マルク・マルケス
レプソル・ホンダ
アルベルト・プーチ
ポル・エスパルガロ
ジョアン・ミル
アレックス・リンス
ダニ・ペドロサ

MotoGPの前後の記事

ページトップ