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「ベンゲルさんは上から目線ではなく…」シンガポール代表監督・西ヶ谷隆之が思い返す“名将の教え”「アジアカップで日本と対戦できたら」 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byNaoya Sanuki

posted2022/05/21 11:01

「ベンゲルさんは上から目線ではなく…」シンガポール代表監督・西ヶ谷隆之が思い返す“名将の教え”「アジアカップで日本と対戦できたら」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

名古屋グランパス監督時代のアーセン・ベンゲル。西ヶ谷隆之が指導を受けたのはプロ1年目の短い期間だったが、同監督の哲学は今も指針になっている

 5月17日に日本を発った。シンガポール入り後は住居を決めつつ、国内リーグを視察していく。

「これまでの指導歴で、成し遂げられていないものはたくさんあります。あるチームで監督候補にあがったけれど、決まらないこともあった。それは自分に足りないものがあり、インパクトを残せていないから。何かを変えていかないと、たぶん自分にチャンスは巡ってこない。いままでとは違う景色を見るべきだと考えていたところで、今回の話がきました。自分自身を変えるきっかけにしたいと思っています」

アジアカップで日本代表と対戦する可能性も

 監督としての初陣は、6月1日のクウェート戦だ。UAEのアブダビで行なわれるこのテストマッチを経て、同8日からキルギス、タジキスタン、ミャンマーとのアジアカップ3次予選に挑む。キルギスで集中開催される同予選でグループ首位になるか、2位チームの上位5チーム以内に食い込めば、来年6月開幕のアジアカップに出場できる。3次予選は6つのグループに分かれて行なわれるので、2位に入れば予選突破の可能性は高い。

「短期決戦になりますが、僕自身、一発勝負のトーナメントは得意分野としてやってきました。キルギス、タジキスタン、ミャンマーは、去年のカタールW杯2次予選で日本と対戦しているじゃないですか。その映像を含めて、どう戦うのかの準備を進めています。東南アジアで言えばベトナム、タイ、マレーシアがトップ3なので、まずはそこに食い込んでいく。アジアカップで日本と対戦できたら、日本人監督として初めてのシチュエーションになりますよね。そういうチャンスがあるということは、心にとめて予選に臨みたいですね」

 育成年代からプロフェッショナルまでを指導してきた西ヶ谷は、シンガポール代表を変えていくことができるのか。彼がこれから記していく足跡は、そのまま日本人指導者の可能性を映し出すものになるかもしれない。<前編から続く>

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