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プロ野球スカウトたちのため息「今年は本当にいないよ」今秋“ドラ1候補の25人”「大阪桐蔭倒せる投手って声も…でもプロで働けるかは別問題」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKYODO
posted2022/05/11 17:05
プロ野球スカウトが今秋ドラ1候補に挙げた、浅野翔吾(外野手・高松商高・171cm86kg・右投両打)
【ドラ1候補・高校生編4】森下瑠大(投手・京都国際高・178cm75kg・左投左打)
「大阪桐蔭倒せるのは、このピッチャーしかいない……みたいな言われ方もしてるけど、プロで働けるかってなると、別の問題だから。ピッチングは上手いですよ、打者を見ながら投げられるしね。高校生の左腕で、変化球も含めて、あれだけコントロールのいいピッチャーはなかなかいないですけど、もしかしたら、今の力量で勝負するピッチャーなのかな?っていう心配がある。そうです、伸びしろってやつですよ」(Aスカウト)
「プロで成功するのは、欠点のないピッチャーですから、そういう意味では高校生でトップクラス。ランナーが二塁に進むと、急にピッチングが変わる。際にきびしいボールをきめて、特に左打者の内角を突いて、フルスイングさせない。ピンチを楽しんでいるようにも見えるほどでね。伸びしろですか……1年秋に初めて見た時に、もう出来上がってるかと思ったけど、そこから体もひと回り大きくなって。スピードもアベレージで5、6キロ速くなっている。そもそも17、18(歳)の高校生に伸びしろがないわけないと思ってますから」(Bスカウト)
「もうすべてプロ並み……気になるのは、コロナでセンバツを失った勝負運のなさ。ただ、そこだけ!」(Cスカウト)
【ドラ1候補・高校生編5】松尾汐恩(捕手・大阪桐蔭高・178cm75kg・右投右打)
「キャッチャーが欲しい球団は挙げてくるでしょうね。今までいなかったタイプのキャッチャーじゃないですか。広陵の中村奨成(現広島)ともちょっと違うし。跳ねるような敏捷性が印象的で、あれだけ構えで作る(左肩が入る)からふところ突かれると窮屈になるけど、ツボに来た時のパンチ力はすごい。ただ、キャッチャー出身の人に聞くと、キャッチャーに見えない……っていうんですよね」(Aスカウト)
「そうなんだよね。中学までの“ショート”が抜けてない。そこが新鮮でもあるし、心配なのは、ああいうピョンピョンしたプレースタイルが、投手たちに受けるのかどうか。松川(虎生・現ロッテ)なんかは、ルーキーでも、万人受けする昭和ムードのどっしり構えたキャッチャーだから重宝されてるけど。本人が本当にやりたいのが、キャッチャーなのか、ショートなのか、そこも確かめてみたい」(Bスカウト)
【ドラ1候補・高校生編6】楠本晴紀(投手・神戸国際大付高・186cm86kg・左投左打)
「春・夏次第ですよ。こっからグッと上がってくれば、1位重複も……と思ってます。去年の春のセンバツの時ね。いいなぁと思った。テークバック見えないし、スライダー、カーブで追い込んでおいてクロスファイアー勝負。球筋に角度あるし、ストライクさえ投げておけば打たれない……ってわかって投げてるような落ち着きね。去年の夏の甲子園だって、ピンチの場面でも70%近く、狙ったポイントに投げてたでしょ。あとは数字、スピードですよ。わかりやすい形で成長が見えたら、重複だってあると思います」(Aスカウト)