甲子園の風BACK NUMBER
麟太郎に負けず劣らずのパワー!“100kgスラッガー”内藤鵬(3年)の可能性…中国籍の両親から授かった名前「すごく強い伝説の鳥らしくて」
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2022/05/04 06:02
佐々木麟太郎ら注目スラッガーに負けないポテンシャルを感じさせる日本航空石川・内藤鵬(3年)
内藤は名古屋市緑区出身。元々はサッカー少年だった。通っていた小学校では4年生から運動部に入部する決まりがあり、当初はサッカー部に所属していたが、野球のクラブチームのコーチをしていた1年上の先輩のお父さんから、“お願い”をされたという。
「野球部の人数が少なかったことと、自分を見て“野球の才能を感じるから、すぐに入らなくてもいいから体験入部に来てくれないか”と言われたのが始まりでした」
当時は野球のルールは全く分からなかったが、5年生の夏に体験入部へ。すると投げるボールの力が強く、バットを振れば遠くへ飛ばす内藤を見て周囲から感嘆の声が挙がった。
「“うわー、めっちゃ速い”とか、大飛球を打ったら“めっちゃ飛ばすやん”とか言われるようになって。それが嬉しくて、だんだん野球に興味が湧いてきました」
当時から体は大きく、食べることが好きな子供だった。あまりにも食いしん坊で、数人のクラスメイトが残した給食を全部食べたこともあるという。だが、そのエネルギーは全て野球に注がれた。中学ではクラブチームに入り、甲子園を意識するようになると「高校は野球に集中できる環境がいい」と親元を離れる決心を固めていた。そんな時に声を掛けられたのが日本航空石川だった。
家では中国語、学校では日本語
両親が中国籍で、家族との会話は中国語。普段は日本語で話すが「中国語は聞くことや話すのは大丈夫なのですが、ちゃんと字が読めないので、親にLINEを送る時はボイスメッセージを使っています」と、現在も家族とのコミュニケーションはマメに行っている。
大会のたびに名古屋から金沢まで応援に駆けつけてくれる両親へ、今後も成長した姿を見せたいと思っている。
「中学生まではプロ野球の世界は夢の世界だと思ってきました。でも高校に入って結果を出せるようになってからは色んな方に評価してもらって、プロの世界は目指さないといけないところだと思うようになりました」
中村監督からは「プロを本気で目指すのなら周りと同じ練習をしていてはダメだ」と言われている。人と同じでは成長できないことは誰よりも熟知しているつもりだ。
「今までは練習してうまくなればいいと思っていましたが、野球以外の普段の生活態度だとか人間性も大事だと思います。ゴミを見つけたら拾うとか、人に優しく接するとか、人としても成長して、普段から周りからも応援されるような人間になりたいです」