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「1人ずつだよ」20歳佐々木朗希に木村コーチが投げかけた言葉とは? よみがえる高3センバツの苦い記憶《9回1死まで完全→逆転負け》
text by
千葉ロッテマリーンズ取材班Chiba Lotte Marines
photograph byChiba Lotte Marines
posted2022/05/05 17:04
今季マリーンズの投手コーチに就任した木村龍治(右)。高3センバツで完全試合に迫った経験を、20歳の佐々木朗希に伝えていた
20歳で完全試合を達成した佐々木朗希。そして、17歳で完全試合を逃した木村コーチ。2人は同じ時間を共有し、試合後、力強く握手を交わした。
「ボクには完全試合は出来なかった。でもあの試合から教訓を得た。最後までものごとは慎重にやらないといけない。希望的観測で進めてはいけないということ」
引退後はジャイアンツでトレーニングコーチも務め、投手コーチという立場からだけではなくトレーニングの観点からもきめ細かい指導を行い、選手をベストコンディションで登板させている木村コーチ。物事は「最後まで油断することなく慎重にやらないといけない」という想いが指導者としての中心にある。事実、マリーンズの3、4月のチーム防御率は1.91。驚異的な数字を叩き出している。そして佐々木もまた高いパフォーマンスを見せ続けている。
「朗希は志、ビジョンがしっかりしている。これからもそういうところでブレることなくやってほしい。つねにファイティングスピリットを出して、みんなをチームの勝利のために引っ張ってほしい」
令和の怪物が覚醒の時を迎えている。しかしマリーンズの首脳陣は、完全試合をしたとはいえ、この若者が本当の意味で完成の時を迎えるのはまだ先だと考えている。現時点でまだまだ成長の余地を残し、未知の才能を宿している状況。あの時、甲子園のマウンドで肩を落とした若者は、マリーンズの投手コーチとして完全試合男の称号を得た怪物の本格覚醒の時に向けての道筋を日々、考える立場となっている。
人生とは不思議な縁で結ばれている。
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