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佐々木朗希が明かす18歳松川虎生への信頼「松川は凄いです。なんか吸い込まれる感じがする」“完全試合”の前夜に2人で話していたこと 

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千葉ロッテマリーンズ取材班

千葉ロッテマリーンズ取材班Chiba Lotte Marines

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posted2022/04/30 11:05

佐々木朗希が明かす18歳松川虎生への信頼「松川は凄いです。なんか吸い込まれる感じがする」“完全試合”の前夜に2人で話していたこと<Number Web> photograph by Chiba Lotte Marines

2月7日の石垣島キャンプで初バッテリーを組んだ佐々木朗希と松川虎生。それまでは「あまり会話をしたことがなかった」と佐々木は振り返る

 当初、リードは佐々木が中心になって考え、松川がそれに沿ってサインを出すという形で行われた。

 順調に開幕前の過程を踏み、迎えたオープン戦最後の登板となる3月18日、東京ドームでのジャイアンツ戦。4回2/3を投げて5失点。4番の岡本和真内野手に逆転の満塁本塁打を浴びて交代した。若きバッテリーにとってこれが初めての苦い経験となった。

「ホームランバッターが多いという事もあって、ちょっと大胆さに欠けていた。きわどいところばかりを狙ってしまった」と佐々木は唇を噛んだ。

 今季公式戦初先発となる3月27日のイーグルス戦(楽天生命パーク)でも悔やまれる場面があった。

 1点リードで迎えた3回裏の守り。1死一、二塁で西川遥輝外野手を迎えた。2ストライクと追い込んでから投じたのはスライダー。甘く入ってしまった。逆転となる2点適時二塁打。結局、この試合は6回を投げて3失点。一時、チームは逆転に成功したが最後はサヨナラ負けを喫した。自慢のストレートで勝負が出来ず、悩んだ末に投じたスライダーは143キロ。真ん中付近に入り、痛打された。

 佐々木にとって悔やんでも悔やみきれない選択。試合後、松川も同じ場面の同じ球が心に残り、後悔をしていた。バッテリーは悔しい時を共に味わうことで少しずつ確実に考えを共有できるようになっていた。そして佐々木は次の登板から配球を後輩に委ねることを決めた。

「最初は松川に大体の話をしてその流れで投げていたけど、(今季初勝利を挙げた4月3日の)ライオンズとの試合ぐらいから試合前にある程度、話し合って、任せながらやっている。ヘタに裏をかく感じではなく、シンプルに、投げやすいリードだと思う」

「最後は三振狙いでした」「洒落たことをするなあ」

 そうして迎えた、10日のバファローズ戦。完全試合の最後の打者は昨年の本塁打王の杉本裕太郎外野手。フォーク3球で3球三振に仕留め、背番号「17」は両手を大きく広げた。球史に残る最高の瞬間が訪れた。

「ストレートが内に入って、ホームランになるリスクを考えてのフォーク。朗希さんはフォークでもカウントがとれる。最後は三振狙いでした」と松川はしてやったりの表情。佐々木もこの日のリードを「洒落たことをするなあと思いました」と独特の言葉で評価した。

 黄金バッテリーは2022年に誕生し、いきなりの偉業を成し遂げた。しかし、まだ、彼らの歩みは始まったばかり。これからも何度となくバッテリーを組み、勝利を重ねていく。そしてスタンドで見守るファンに感動の思い出を提供してくれることになるだろう。

 新しい歴史は動き出したばかり。伝説は始まったばかりだ。

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